| 11月26日(水) 第1会場(情報プラザ,1F) | ||||
| セッション | 微動探査1・表面波探査1 | |||
| 座長 | 東 貞成(電中研) | |||
| 11月26日 | 10:50〜11:10
"稠密アレイによる自然地震及び常時微動等の受動データを用いたマルチスケールの地下構造イメージングは,解像度の高い制御震源データを補完する観点で,非常に重要な技術要素である. 受動データを用いた地下構造推定手法には, 波動場の直接イメージングと地震波干渉法型イメージングが存在し, 遠地・近地地震及び常時微動データから抽出する実体波及び表面波を用いて,空間スケール・対象深度・解像度に合わせた解析手法の選択と複合化が可能である.本稿では, 国内における能動・受動データによる深部構造探査及び関連する合成波形データを対象事例として, 受動データを用いた多様な地下構造イメージングの基本コンセプトとワークフローを構築した."
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1) 受動データを用いた地下構造イメージング技術の現状と今後の課題 | ||
| ○阿部 進(1),佐藤 比呂志・岩崎 貴哉・蔵下
英司(2),齋藤 秀雄(1) 1:地科研,2:東大地震研 |
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| 11月26日 | 11:10〜11:30
岩手大学理工学部のグラウンドにおいて2重チェーンアレイを用いて微動を観測し,水平成分から回転成分アレイ記録を算出した.回転成分アレイ記録から空間自己相関法を用いてラブ波位相速度を連続的に推定し,また,鉛直成分アレイ記録からレイリー波位相速度を推定した.ラブ波位相速度は7〜12 Hzにおいて180〜280 m/sの範囲で,レイリー波位相速度は240〜470 m/sの範囲で得られた.測線中央におけるラブ波およびレイリー波位相速度は,既往の速度モデルを用いた計算値と一致し,推定法の妥当性を確認した.さらに,測線両端では位相速度が若干遅く,中央では位相速度が速い傾向が見られ,地下構造の空間的な変化の検出を示唆している.このことから,本研究は,2重チェーンアレイを用いたラブ波およびレイリー波の2次元位相速度推定の有効性を実証した.
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2) 2重チェーンアレイにより観測された水平微動から求めた回転成分を用いたLove波の位相速度の2次元変化 | ||
| ○山本 英和・鎌田昂樹・齊藤 剛(1),野田 克也・萬谷
亮平・鈴木 貴司(2) 1:岩手大,2:ジオシス |
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| 11月26日 | 11:30〜11:50
森本・富樫断層帯は,金沢平野の南東縁に発達する活断層であり,長さ約26 km の東側が西側に乗り上げる逆断層である.過去の活動から,将来的にはマグニチュード 7.2 程度の地震を発生させる可能性が指摘されており,地下構造解明は強震動予測や防災上の重要課題の一つとなっている.文部科学省科学技術基礎調査等委託事業「森本・富樫断層帯における重点的な調査観測」が実施され,その一環として臨時地震観測網を構築した.本研究では,構築した臨時地震観測網と周辺の定常観測点で観測された波形記録のうち地震動以外を用いて表面波の群速度・位相速度の分散特性を推定し,それに基づく位相速度トモグラフィとインバージョン解析によって広域3 次元S 波速度構造を推定した.
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3) 雑微動を用いた森本・富樫断層帯周辺の3次元S波速度構造の推定 | ||
| ○二宮 啓・吉見 雅行(1),浅野
公之(2) 1:産総研,2京大 |
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| 11月26日 | 11:50〜12:10
2019年2月に常総市上蛇地先の小貝川河川敷において2m間隔で240点に上下動型地震計を展開しハイブリッド地震探査を実施した際,偶然に自然地震を捉えた.気象庁によると,この地震の発生時刻は2019年2月21日15h13m45.29s,マグニチュード2.0,深さ45.5 kmと見積もられている.震源地は茨城県南部で測線とほぼ直交する方向に位置し,震央距離は18.6kmであったことから地震波は地震計アレイに対しほぼ鉛直下方から入射したとの想定が可能であるが,観測地震波には30msを越える相対走時差が認められた.この走時差を表層スタティクス量とみなし,ハイブリッド表面波探査解析結果と比較した.S波速度断面から表層40m区間を鉛直伝播するS波の走時を計算したところ,表層スタティクス量とほぼ合致した.両者とも測線下流側では起伏・走時差が小さく,上流側に向かって大きくなる傾向が共通して認められた.
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4) 稠密地震計アレイで観測された自然地震記象からの浅部地盤構造推定 | ||
| ○稲崎 富士(1) 1:無所属 |
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| セッション | 反射法地震探査 | |||
| 座長 | 柏原 功治(石油資源開発) | |||
| 11月26日 | 13:30〜13:50
著者らは、姶良カルデラの火山活動を監視することを目的として、エアガンを用いた観測システムの構築を進めている。このシステムでは、マグマから反射する弾性波を特定するために、震源波形が必要となる。そこで、陸上に建造された水槽内でエアガンから生じる波動場を得るため、3次元時間領域有限差分法を用いた数値シミュレーションを実施した。シミュレーションによって、水槽から放射される波形だけでなく、水槽内壁に掛かる圧力場も得られる。シミュレーション結果は、漏斗型水槽での実験結果を良く説明するものだった。よって、本研究で構築したシミュレーションフレームワークにより、エアガンの仕様や水槽デザインの最適化が可能になったと言える。
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5) 3次元時間領域有限差分法による水槽内エアガン発振シミュレーション その1:シミュレーション基本構成および漏斗型水槽のケース | ||
| ○加藤 政史・田村 怜(1),筒井 智樹(2),澤田
壮一郎(3) 1:地科研,2:京都大学防災研究所,3:ジオシス |
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| 11月26日 | 13:50〜14:10
その1に続いて、最適なエアガンおよび水槽構成の検討を進める。その1のシミュレーション結果から、エアガンによる圧力波が水槽内壁コンクリートの引張強度を超える可能性があることがわかった。本研究では、水槽内壁に鋼板を取り付けた大型の長方形型水槽を対象とし、その1と同様の方法で数値シミュレーションを実施した。結果、大型の長方形型水槽は、漏斗型水槽の場合と比べて、内壁に掛かる圧力は下がり、水槽から放射される波形の歪みは少なくなることがわかった。従って、大型の長方形型水槽は漏斗型水槽よりも適切であると言える。
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6) 3次元時間領域有限差分法による水槽内エアガン発振シミュレーション その2:直方体型水槽のケース | ||
| ○田村 怜・加藤 政史(1),筒井
智樹(2),澤田壮一郎(3) 1:地科研,2:京都大学防災研究所,3:ジオシス |
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| 11月26日 | 14:10〜14:30
本発表では2024年9月に実施した2024年能登半島地震の震源域東部を横切ったマルチチャンネル反射法地震探査のデータ解析で得られた結果を報告する。注目すべきこととして、調査測線の余震域直下にて、下部地殻から最上部マントルに顕著な複数の反射面が確認されたので、その特徴について述べる。
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7) 地震探査によって能登半島地震震源域東部直下でイメージされた地殻・上部マントル内の強反射面 | ||
| ○野 徹雄・藤江 剛・中村 恭之・高橋 努・尾鼻
浩一郎・白石 和也・Yanfang Qin(1),石山 達也(2),市川 大・赤間 健一(3),他 1:JAMSTEC,2:東大地震研,3:地科研 |
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| 11月26日 | 14:30〜14:50
能登半島沖の地殻構造調査を目的として取得された、稠密な受発震展開(海底地震計2km間隔、海上エアガン発震点100m間隔)による広角地震探査のデータを用いて、地殻内の反射波イメージングを試みた。海底地震計近傍の発震記録から抽出した震源波形を用いた波形処理、圧力成分と鉛直成分の加算・減算による上方進波と下方進行波の分離を行なった後、リバースタイムマイグレーションによる深度イメージングを適用した。一次反射波(上方進行波)に加えて、ミラーイメージングによる海面多重反射波(下方進行波)を活用することで、海底面を含む地下からの反射波を満遍なく捉え、浅部の堆積層の内部構造、地殻内の地震断層を示唆する反射波群、地殻またはマントル内の深部反射面などを描像することに成功した。本手法は、プレート沈み込み帯等、他の海域の地殻構造探査においても、同様のデータ取得および解析手法が有効であると期待される。
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8) 稠密な受発震展開の海底広角地震探査データを用いた反射波イメージング | ||
| ○白石 和也・野 徹雄・Qin Yanfang・高橋
努・中村 恭之・藤江 剛(1) 1:JAMSTEC |
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| 11月26日(水) 第2会場(第3会議室,3F) | ||||
| セッション | 電気探査1・電磁探査1 | |||
| 座長 | 小森 省吾(産総研) | |||
| 11月26日 | 10:50〜11:10
3次元地磁気地電流法(Magnetotellurics; MT法)逆解析は計算資源やアルゴリズムの向上により一般的になりつつある。しかしながら、計算コストやアルゴリズムの制約から、2次元解析と比べ、得られた逆解析局所解(逆解析モデル)の評価が十分に行われているとは言い難いのが現状である。そこで我々は、フーリエ変換とヌル空間への投影を用いた局所解評価手法を提案する。この手法を秋田県湯沢地熱地域の実データに適用したところ、逆解析モデルの感度が比較的小さい領域を推定することができた。
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22) フーリエ変換とヌル空間射影を用いたMT法逆解析解の感度解析 | ||
| ○鈴木 惇史(1) 1:JX金属探開株式会社 |
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| 11月26日 | 11:10〜11:30
MT法のリモートリファレンス処理を使えばMTインピーダンスの劇的な精度向上が期待できるが,理想的には,測定点だけの電磁場データから高精度にMTインピーダンスを推定できることが望ましい.そこで本研究では,シングルサイト処理でもMTインピーダンスの推定精度を向上させる新しい計算アルゴリズムを考案した.ここではその計算アルゴリズムと共に,シミュレーションデータを用いたMTインピーダンスの計算精度の向上結果を示す.この計算アルゴリズムでは,MTインピーダンスの推定精度の低下を招くオートパワーの計算を回避しているのが特徴である.オートパワーを使わずにクロスパワーだけを用いることで,かなり劣悪なノイズ環境でも,アンサンブル平均に使用するデータ数を増やせば,真値に近いMTインピーダンスが得られることを確認した.今後は,この手法を実データに適用してその効果を検証する予定である.
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23) MTインピーダンスの新しい計算アルゴリズム | ||
| ○水永 秀樹・田中 俊昭・橋本 幸治(1) 1:九州大学 |
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| 11月26日 | 11:30〜11:50
筆者らは堤防の弱部抽出を目的とし,キャパシタカップリングを用いた牽引式電気探査を開発した.この目的のためには,堤防の天端から基礎地盤までの土質分布を把握することが重要である.そこで長さの異なる2種類の線電極を用いた測定システムを開発した.開発したシステムはダイポール・ダイポール配置を採用した.本稿では,開発した性能評価のために感度解析と野外実験を実施した.均質媒質における線電極と点電極の感度分布を比較した結果,線電極で得られる応答はその中心に点電極が位置する応答で近似できることが分かった.また,この近似法を用いて野外実験で得られたデータを2次元解析したところ,電気探査と同様の比抵抗分布を示し,深度10m程度までの構造を把握できることが分かった.
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24) 牽引式電気探査装置の開発(その3):線電極を用いた深部探査システムの開発 | ||
| ○木佐貫 寛・小西 千里(1),佐藤 喜一郎・國居
裕介・松田 慎思(2),Philip Meldrum・Oliver Kuras(3) 1:応用地質株式会社,2:応用地質,3:BGS |
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| 11月26日 | 11:50〜12:10
杭やアンカーが施工された地盤における電気探査では、埋設物の影響が懸念される。本研究では、ボーリング孔に鋼管を埋設し、周囲をセメントミルクで充填した時の時間経過に伴う比抵抗変化を電気探査により検討した。農研機構敷地内にて、鋼管打設およびセメントミルク注入後(1日〜2か月)に2極法で測定を行い、逆解析と差トモグラフィ解析により比抵抗分布と変化率を算出した。結果として、セメントミルク注入に対応した、鋼管周辺では低比抵抗化が確認され、降雨の有無が表層の比抵抗変化に影響することが示唆された。
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25) セメント注入ボーリング孔における比抵抗モニタリング | ||
| ○井上 敬資(1),楠本 岳志(2) 1:農研機構,2:NARO |
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| セッション | 磁気探査・ドローン物理探査 | |||
| 座長 | 鈴木 晴彦(応用地質) | |||
| 11月26日 | 13:30〜13:50
"蛇紋岩体の磁気探査に関する予察研究として,長野県白馬村の八方尾根付近の磁化構造を明らかにするため,対地 1,500 m 平滑面での磁気異常分布データを使用して磁化強度マッピングを実施した.その結果,八方尾根付近に卓越して分布する古生代大江山帯の蛇紋岩体に対応して顕著な高磁化強度域が分布するのが分かった.この高磁化強度域は蛇紋岩体の西側にも広がっていることから,当該蛇紋岩体の西方への伏在が示唆された.本解析では,磁気構造とした地形モデルの下面深度を地表下5 kmと仮定したが,この深度を変えることにより求まる磁化強度値も変わってくる.また,2次元ではなく3次元で計算する方がより実態に即した解析が行える.ただし,いずれにしても,ポテンシャルデータの宿命で磁気異常の解析では唯一解が存在しないため,解析結果と対応する磁気異常岩体の岩石磁気値との詳細な検討が適切な地下構造の推定に必要不可欠である."
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26) 蛇紋岩体の磁気探査に関する予察的研究−長野県白馬村地域の空中磁気異常の解析 | ||
| ○大熊 茂雄・宮川 歩夢・田上 綾香(1) 1:産総研 |
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| 11月26日 | 13:50〜14:10
超臨界CO2を利用したカーボンリサイクルCO2地熱発電のポテンシャルを求めるため、産総研が公開している磁気データを使い、日本のキュリー点深度(CPD)を計算した。ウィンドウサイズを50kmとして計算したCPDは、火山地域で海水準面下6〜9 km、非火山地域では海水準面下9 km深となった。CPDはウィンドウサイズ(50 km四方の領域)の平均値に対応していることが分かった。JOGMECのヘリボーン磁気データと産総研のデータをコンパイルし、格子点間隔2kmの磁気データを作成した。ウィンドウサイズ40kmとして求めたCPDは、ヘリボーンデータのあるところではCPDは浅くなった。Leapfrog Geothermal 3D Modelingを使用してそのCPDと抗井データをコンパイルすることにより、3D温度構造モデルを構築した。
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27) キュリー点解析と井戸データによる3D温度構造モデルの作成 | ||
| ○大久保 泰邦・赤澤 舜介・木元 匠・山野 昭一・大里
和己(1),寺井 周(2) 1:地熱技術開発,2:JOGMEC |
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| 11月26日 | 14:10〜14:30
本邦における地熱貯留層の大半は断裂型である.空中磁気探査はセンサーが軽量故多量のデータを安価に取得できる.垂直断裂帯においては岩脈,鉱脈,地熱貯留層などが形成される.磁気探査は,岩脈などのマグマ冷却時に帯磁した残留磁化に応答した磁気変化を計測する.この結果、磁気探査データ解析により火道や岩脈分布を捉えることで、地質学的断裂帯形成要件を共有する地熱貯留層分布推定の手がかりとなる。単一磁化異常体柱状モデルを適用し、波数領域解析から検討地域における代表的かつ地表面近くまで貫入する岩脈或いは火道の上面における仮想的な疑似磁化分布を推定し、その磁化分布から上面深度を含め柱状体分布を推定した。実例として東北地方の解析結果を示す.
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28) 地熱資源地域における空中磁気探査データの柱状モデルを適用した波数領域解析 | ||
| ○水谷 滋樹(1) 1:川崎地質 |
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| 11月26日 | 14:30〜14:50
近年,ドローンを用いた電磁探査法の開発研究が進み,特に孤立地域や災害現場などの人の立ち入りが困難な場所や小規模探査への有効性が期待されている一方,ドローン空中周波数領域電磁探査に対する応答特性計算の研究は研究例が少ない.本研究では,従来のヘリコプター型空中周波数領域電磁探査で用いられてきた見掛比抵抗変換を,ドローン電磁探査へ展開する.そして,ドローン空中周波数領域電磁探査における見掛比抵抗変換と応答特性による適用可能性を数値実験により詳細に検討した.数値計算の結果より,ドローン空中周波数領域電磁探査における見掛比抵抗変換の有効性,適用条件に加え,探査仕様の検討への利用可能性を明らかにした.今後は,より詳しい探査仕様,応答特性の計算や逆解析への応用へつなげていき,ドローン電磁探査の発展に資することを目指す.
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29) ドローン周波数領域空中電磁探査法における見掛比抵抗変換と応答特性 | ||
| ○長瀬 恵里子・上田 匠(1) 1:早大 |
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| 11月26日 | 14:50〜15:10
本研究では、水平多層構造における制御震源電磁探査(CSEM)の応答計算を対象とした高速かつ汎用的なPythonライブラリ emulatte を開発した。CSEMは資源探査・環境調査・防災などに広く利用され、逆解析において効率的な順解析コードが不可欠である。従来のオープンソースコードには短オフセット電線源の未対応や任意波形入力の制限などの課題があった。emulatteは内部をC++で実装し、Pythonから利用可能な形で提供することで高速性と利便性を両立した。理論的にはHankel変換に基づく周波数領域応答、ステップオフ応答、任意波形入力を扱い、送信源として磁気・電気ダイポール、ループ、接地電線等を実装した。性能評価ではempymodを上回る速度を確認した。今後は3次元順解析への拡張によりさらなる応用が期待される。
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30) 電磁探査の順解析用Python/C++ライブラリ「emulatte」の開発—水平多層構造における汎用的モデリングとその高速化— | ||
| ○西野 玉城・上田 匠(1) 1:早大 |
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| 11月26日(水) 第1会場(情報プラザ,1F) | ||||
| セッション | [ポスター(コアタイム)] | |||
| 座長 | 高橋 明久(ウェーブレット) | |||
| 11月26日 | 15:30〜17:00
地中レーダ(GPR)による埋設物検知は路盤の維持管理に重要であるが,そのデータ解釈は,従来は専門家の経験に依存し,加重な労力や属人性が課題であった.本研究では,畳み込みオートエンコーダ(CAE)を用いた異常検知手法を検討した.CAEは教師データを必要とせず,背景の学習により差異を強調できる特徴を持つ.本年度は,昨年度の研究を拡張し,より多様なGPRデータに適用するとともに,VGG系列やResNet系列を含む異なる深さのモデルを比較した.その結果,比較的浅い層数を持つモデルでは再構成が不安定で誤検知に至る事例が確認された.これらの成果は,CAEを応用した地下構造探査の実用化に向けた基盤知見を提供する.さらに,異常検知精度の向上に向けて,学習データの条件整理ほかが重要であることが示唆された.今後はモデルの最適化と背景データの特徴分類と拡充を行い,誤検知要因の体系的整理を進める予定である.
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P-1) 畳み込みオートエンコーダ(CAE)によるGPRデータの異常検知― モデル深さとデータ多様性の検討 ― | ||
| ○磯 真一郎(1) 1:深田研 |
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| 11月26日 | 15:30〜17:00
2008年岩手・宮城内陸地震(M7.2)で大加速度を記録したKiK-net一関西観測点(IWTH25)について,地中記録の大加速度に着目し,その要因解明のため反射法・屈折法地震探査および微動アレイ探査を実施して,深部までの地下構造をモデル化した.2次元数値解析の結果,IWTH25地中以深の深部地盤の不整形性が,IWTH25地中における10Hz程度以上の高周波数帯域での増幅に影響を及ぼしていることが示唆された.
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P-2) KiK-net一関西観測点(IWTH25)における速度構造のモデル化 | ||
| ○東 貞成・佐藤 浩章(1) 1:電中研 |
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| 11月26日 | 15:30〜17:00
東西効果とは、地球磁場によって宇宙線の到来方向に非対称性が生じる現象である。この効果は宇宙線ミューオンの角度分布に影響を及ぼすため、特に小スケールのミューオンラジオグラフィーにおいて定量解析を行う際に考慮すべき重要な要因となる。本研究では、東西効果がミューオンラジオグラフィーに与える影響を評価するために、2つの独立した手法を用いる。まず、地磁気を含む宇宙線伝播の数値シミュレーションを行い、条件ごとの角度依存性や効果の大きさを予測する。また、地上検出器を用いた測定を実施し、実際のミューオンフラックスを実測する。これらの結果から、東西効果がミューオンラジオグラフィー技術の精度に与える影響を評価することを目指す。講演では、これまでの研究進捗について報告する。
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P-3) ミューオンラジオグラフィーにおける東西効果の評価 | ||
| ○長尾 桂子(1),石黒 勝己(2),坂本 智則・竹本
雷己(1) 1:岡山理大,2:名大,橿考研 |
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| 11月27日(木) 第1会場(情報プラザ,1F) | ||||
| セッション | 屈折法探査・微動探査2・表面波探査2 | |||
| 座長 | 津野 靖士(東京科学大) | |||
| 11月27日 | 10:00〜10:20
本研究では、音波データを用いた弾性波形インバージョンによる海底下P波およびS波構造の推定手法について検討した。従来の反射波中心の解析に加え、屈折波や後続波も利用することで感度を拡張し、P波だけでなくS波に対しても解像度を高めることを目指した。理論波形計算には相反定理および時間反転対称性を満たす枠組みを採用し、Marmousi2モデルを基に構築した拡張モデルに対して数値実験を行った。感度カーネルおよびインバージョンの結果から、高周波成分の利用による浅部構造の詳細な解像、ならびに時間窓を拡張することによる深部構造の解像性向上が確認された。また、最急降下法と共役勾配法など複数の最適化手法を比較することで、収束性や推定結果の違いを検証した。本発表では、これらの進捗結果を示し、海上音波データによる弾性波形インバージョンの有効性と今後の展望について議論する。
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9) 音波データを利用した海底下P波・S波速度構造推定のための弾性波形インバージョン手法 | ||
| ○河合 研志(1),水谷 宏光(2),堀野 一樹・高原
一峰(3) 1:東大,2:セオコンプ,3:出光興産 |
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| 11月27日 | 10:20〜10:40
坑内振動を用いた切羽前方予測について,有効な振動源を選定した.外部環境によるノイズと比較して坑内振動による振動エネルギーのほうが圧倒的に大きいため,振動源が坑内に限定されるという地震波干渉法の特殊なケースを考え,また切羽前方反射面は坑跡に対し垂直であるという仮定をおき,受振点と同一位置の仮想発振点からの反射波を受振点で観測した場合の合成波形から切羽前方反射面を予測する.このとき受振点より坑口側で発生する位置不確定なノイズ,もしくは切羽発破などの位置が確定している振動であれば切羽前方予測に有効であることを示した.またトンネル掘削中に取得された切羽発破振動記録に対し発破干渉法を適用して切羽前方予測を実施した.掘削実績による指標と比較して,本手法で切羽前方の地質変化点を予測可能であることを示した.また発破干渉法による予測システムの準リアルタイム運用を実施した.
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10) 掘削作業に伴う坑内の各種振動を用いた切羽前方予測 | ||
| ○由井 紀光・斎藤 秀雄(1),池田 奈央・長江
優介・荒井 靖仁・村山 秀幸(2) 1:地科研,2:フジタ |
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| 11月27日 | 10:40〜11:00
トンネルの盤ぶくれ対策範囲を検討する際、表面波探査や微動アレイ探査は効果的な調査手法である。ただし、これらは半無限弾性体の表面上での測定が前提のため、著者らは実際に盤ぶくれが発生したトンネル内での表面波探査結果と、既往の円筒形空洞での表面波伝播モデルが整合するか検証した。半径約5mのAトンネルにおける表面波探査・一軸圧縮試験の結果、深度5m以浅は一軸圧縮強さとS波速度の両者が低かったが、深度5m以深は一軸圧縮強さに対してS波速度が相対的に高くなった。ここで,円筒形空洞モデルでは孔半径の約3倍以上の波長の表面波は存在しないと考えられることから、浅部と同様に深部を表面波探査として解析するとS波速度が過大評価される可能性があると推定した。したがって、トンネル内での表面波探査・微動アレイ探査では、トンネル半径と波長との関係を考慮する必要があり、地山評価にはボーリング調査や室内試験等の併用が重要である。
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11) 供用中のトンネルでの盤ぶくれ対策範囲検討における表面波探査の適用 | ||
| ○新部 貴理・斎藤 秀樹・池田 慧生・奥井 裕三・國村
省吾(1),上野 慎也・吉川 真仁(2),鎌田 一男・中村 純(3) 1:応用地質株式会社,2:中日本高速道路株式会社,3:中日本ハイウェイ・エンジニアリ |
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| 11月27日 | 11:00〜11:20
柏崎刈羽原子力発電所内の稠密強震計アレイで得られた能登半島周辺で発生したM6クラスの地震による記録を対象にセンブランス解析を行った.加速度波形から計算した速度波形をデータとして,解析窓は基本2秒,成分毎に到来方向と速度を求めた.P波部分,S波部のセンブランス値が高く,地震波は概ね震央方向から到来し,速度も安定している.後続波部分では,到来方向が乱れるとともに,速度は低下する.解析で求めたP波部,S波部の到来方向,速度について震央との関係を検討した.地震波の到来方向は震央より北よりにずれる傾向があり,ずれはS波の方が大きい.P波,S波の速度は,震央距離とともに速くなる傾向が見られた.敷地内の向斜軸上観測点,背斜軸上観測点で解析を行うと,敷地全体の結果とは一致しない.向斜軸上で速度が大きく,この傾向は他の地震でも見られた.
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12) 能登半島の地震群で得られた稠密強震計アレイデータの地震波伝播解析 | ||
| ○植竹 富一・引間 和人・小山 龍二・岩井
徹(1) 1:東京電力HD |
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| セッション | 微動探査3・表面波探査3 | |||
| 座長 | 浅野 泰寛(応用地質) | |||
| 11月27日 | 13:00〜13:20
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、石川県輪島市や志賀町で最大震度7を観測し、多くの木造家屋やインフラ施設が被害を受けた。本研究では、被災地において離散的に実施した単点での常時微動観測結果を整理した。さらに、強震観測地点近傍のデータを抽出し、強震記録との比較を行った。3地区で得られた多点観測の結果から、MHVR(微動H/Vスペクトル比)は砂丘や後背湿地など地形特性の違いを反映していることが分かった。また、強震観測地点近傍で得られたMHVRとEHVR(強震記録のH/Vスペクトル比)を比較した結果、両者の形状やピーク周期は概ね一致した。さらに、EHVR(本震)に見られる非線形化の影響は、地盤特性や入力の大きさによって異なることが示唆された。ただし、解析対象は9地点と限られており、地盤の非線形化に関する検討は今後も継続して行う予定である。
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13) 2024年能登半島地震の強震記録と単点微動計測結果の比較 | ||
| ○落合 努・朱牟田 善治(1),小田 義也(2),長谷川
延広(3)・荏本 孝久(1) 1:神奈川大学,2:東京都立大学,3:東京電機大学 |
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| 11月27日 | 13:20〜13:40
トルコ共和国ブルサでは,1855年にM7.1の地震が発生し,モスクなどの歴史的建造物に多数の被害が生じた.この大地震による強震動を再現するためには,地震基盤に至る深部地盤のS波速度構造の影響を考慮することが重要である.本検討では,地震観測記録を用いた波形逆解析に基づき,S波速度500〜2200 m/sの深部地盤の二次元S波速度構造を推定した.この結果をもとに簡易的に3次元地盤モデルを作成し,地震動シミュレーションにより当該地域における周期1秒付近の地盤震動特性を調べた結果を報告する.ブルサ都市部では盆地端部で励起・伝播する表面波とS波が重なり,周期1秒付近の地震動が卓越することが分かった.この卓越周期は,ブルサで著名なウルジャーミィ(グランドモスク)のミナレットの固有周期約1.2秒に対応する.ブルサ都市部の地震動評価に際しては,深部S波速度構造の不整形の影響を考慮することが重要である.
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14) 深部地盤の3次元S波速度構造モデルを用いたトルコ・ブルサ地域の地震動シミュレーション | ||
| ○笠松 健太郎(1),山中 浩明(2),三宅
弘恵(3),守田 正志(4),佐藤 大樹・冨川 維新・大野 登羽(2),Oğuz Ozel(5),Özgür Tuna Özmen(6),Mehmet
Safa Arslan(7), 他 1:鹿島技研,2:科学大,3:東大,4:横浜国大,5:イスタンブール大学,6:AFAD,7:EBYU |
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| 11月27日 | 13:40〜14:00
"2023年トルコ南東部地震により甚大な被害が発生したアンタキヤ地域において実施した臨時強震観測の連続記録に対して、地震波干渉法を適用し、周期0.4秒から3.0秒におけるレイリー波群速度を推定した。2地点の観測点ペアにおける上下動成分同士の相互相関関数を算出し、マルチプルフィルタ解析によりレイリー波群速度を抽出した。対象地域を142個の四角形のセルに分割し、各周期でトモグラフィ解析を行った。平野部では相対的にレイリー波群速度が小さく評価され、大局的に建物被害と相関関係にあった。推定されたレイリー波群速度を用いたS波速度構造モデルの逆解析を行い、Vs=1.0, 1.5, 3.0km/sまでの地表からの深度分布を明らかにした。"
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15) 地震波干渉法を用いた2023年トルコ南東部地震の被災地域におけるS波速度構造の推定 | ||
| ○大野 登羽・山中 浩明・津野 靖士(1),高井
伸雄(2),吉見 雅行(3),三宅 弘恵(4),Oğuz Ozel(5),Özgür Tuna Özmen(6),Deniz
Çaka(7),他 1:科学大,2:北大,3:産総研,4:東大,5:イスタンブール大学,6:AFAD,7:コジャエリ大学 |
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| 11月27日 | 14:00〜14:20
本研究では、特定サイトの詳細な地盤構造を推定することを目的として、グルノーブルおよび近傍の2サイトにおいて、重錘落下を用いた表面波探査と微動アレイ探査を実施した。本報では、初期的なデータ分析結果について、報告する。
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16) フランス・グルノーブルにおける重錘落下を用いた表面波探査と微動アレイ探査 | ||
| ○津野 靖士・山中 浩明(1),高井
伸雄(2),友澤裕介(3),クリストフ ヴォアザン・セシル コルヌ(4) 1:東京科学大,2:北大,3:鹿島建設,4:ISTERRE |
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| 11月27日 | 14:20〜14:40
三浦半島周辺には相模トラフ沿いのプレート境界や三浦半島断層群があり,これらに関係する想定地震による地震動評価も行われている.また,地下構造モデルの知見も多く,関東平野中央部から南に向かって地震基盤の深度が徐々に浅くなっていると考えられている.しかし,三浦半島地域に限れば,地下構造のモデル化に使用できるデータはあまり多くない.本研究では,三浦半島断層群周辺地域において微動探査を実施し,臨時強震観測の記録の地震波干渉法に基づく解析によって深部地盤のS波速度構造をモデル化することを試みた.微動探査では,25地点において0.2-30Hzのレイリー波の位相速度を得て,そ地震基盤までの1次元S波速度構造を明らかにした。臨時強震観測(山中ほか,2024)による記録に対して地震波干渉法を適用し,周期0.5−5秒間でレイリー波群速度を得た。衣笠・北武および武山断層帯近傍の丘陵部で,相対的に大きな群速度が得られた.
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17) 微動探査と地震波干渉法による三浦半島断層群周辺の深部地盤構造のモデル化 | ||
| ○山中 浩明(1),杉山 長志(2),大野
登羽(1),三宅 弘恵・宮川 幸治・安藤 美和子(3), 橋本 和佳(4) 1:東京科学大,2:個人事業主,3:東大地震研,4:中央開発 |
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| セッション | 特別講演 | |||
| 座長 | 小田義也 副会長(東京都立大学) | |||
| 11月27日 | 15:00〜16:00 | 鳥取大学で実施した物理探査とその地震防災への活用 | ||
| 香川 敬生 氏(国立大学法人 鳥取大学 工学部社会システム土木系学科 教授) | ||||
| 11月27日 | 16:00〜17:00 | 山陰の真髄:「やくも」と「たたら」が織り成す地域創造の物語 | ||
| 石村 隆男 氏(公益財団法人とっとりコンベンションビューロー 理事長) | ||||
| 11月27日(木) 第2会場(第3会議室,3F) | ||||
| セッション | 電気探査2・電磁探査2 | |||
| 座長 | 鈴木 惇史(JX金属探開) | |||
| 11月27日 | 10:00〜10:20
電磁探査において,複雑な地下構造を定量的に推定するためには、3次元モデルに対する数値解析技術の確立が重要である。本研究では人工信号源を用いた電磁探査の3次元順解析に焦点を当て、様々な3次元数値手法の中から有限要素法(FEM)に基づく商用ソフトウェアであるCOMSOL Multiphysicsに注目した。COMSOLを用いた順解析計算を実施し、複数の先行研究の結果との比較による緻密な精度検証を行った。その結果COMSOLによる電磁場計算は十分な精度で先行研究を再現できており,順解析解析手法として利用可能なことがわかった。
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31) COMSOL Multiphysicsを用いた3次元電磁探査法順解析の精度検証 | ||
| ○中島 緋里・上田 匠(1),渡辺 英久・渡邉
英彦・石川 秀浩(2),井川 怜欧(3) 1:早大,2:三井金属資源開発,3:産総研 |
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| 11月27日 | 10:20〜10:40
"海底熱水鉱床のI P効果を解析する2手法(中山ほか, 2024,Endo et al., 2024)を鉱床域で取得されたデータに適用し,試錐データを参照して解析結果を検証した結果,IP効果の解析は鉱体の賦存状況把握に有効なことが示された.解析結果の信頼性をさらに高めるためには,より遅い時間帯までのデータを解析に使えるようにすることが重要である.問題となる低周波数のノイズはフーリエ領域で線形回帰を行う事で低減できる可能性がある."
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32) 海底電磁探査データの効果的かつ実⽤的な解析(3):解析結果の検証 | ||
| ○中山 圭子(1),遠藤 仁(2),斎藤 章(3),星野
剛右・長瀬 薫平・佐藤 匠(4) 1:(有)ジオ・ブレス,2:RedStoneGEO,3:早稲田大,4:JOGMEC |
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| 11月27日 | 10:40〜11:00
海底熱水鉱床をターゲットとした海底電磁探査データのインバージョンにおいて、入力データが解析結果に及ぼす影響について検討した。異なる時間帯、また複数データセットを用いたインバージョン(固定方式)を行い、ボーリング結果と比較することで解析結果を評価した。今後、評価結果を基に得られた条件を満たす曳航方式データの解析を行い、海底熱水鉱床の賦存の可能性を評価する。
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33) 海底電磁探査データの効果的かつ実⽤的な解析(4) | ||
| 遠藤 仁(1),中山 圭子(2),斎藤 章(3),星野
剛右・長瀬 薫平・佐藤 匠(4) 1:RedStoneGEO,2:(有)ジオ・ブレス,3:早稲田大,4:JOGMEC |
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| 11月27日 | 11:00〜11:20
本研究では,Cole-Coleモデルによる近似が困難な場合でも複雑な比抵抗構造の推定および誘導分極(IP)特性の評価を可能にするロバストな方法論について検討した.本発表では,時間領域IP(TDIP)探査データから直接Cole-Coleモデルに基づくインバージョンを行った場合と,TDIP波形を最初にスペクトルIPデータに変換し各周波数の見掛比抵抗・位相差データから構造解析を行った場合とで得られる解析結果の類似点および相違点について,実データを利用して議論する。
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34) TDIP法電気探査技術の高度化:ロバストな構造解析手順の構築 | ||
| ○小森 省吾・梅澤 良介・高倉 伸一(1) 1:産総研 |
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| セッション | 物理検層・機械学習 | |||
| 座長 | 加藤 政史(地科研) | |||
| 11月27日 | 13:00〜13:20
Utah FORGEプロジェクトで取得されたモノポール/ダイポール音波検層データを用い、輻射伝達理論(RTT)による地震波減衰の有効性を検証した。RTTにより内部減衰と散乱減衰を分離し、既存手法(スペクトル比法・MFS法)と比較した結果、RTTはスペクトル比法よりノイズ耐性に優れていた。また、モノポール振源によって生じたストンレー波を用いて推定した内部減衰は、フラクチャーゾーンで低い値を示し、フラクチャーに対し高い感度を示した。ダイポール振源で同様の結果は得られなかった。
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35) 音波検層における輻射伝達理論による地震波減衰推定の有効性検証 | ||
| ○大津 啓・松島 潤(1) 1:東大 |
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| 11月27日 | 13:20〜13:40
二酸化炭素の安定貯留のためには、圧入中および圧入後の遮蔽層の力学挙動の理解と予測が重要である。遮蔽層を構成する泥岩や頁岩の弾性率異方性は、応力場の推定、ひいては力学挙動の予測に影響する。弾性波速度試験は岩石の弾性特性評価に広く使用され、可搬型の装置も普及している。そこで、可搬型装置を用いた弾性波速度測定と異方性評価について検討した。その振動子が発生させるねじれモードのせん断波が異方性媒体中を伝わる速度について調べるため、弾性特性が既知のエポキシ樹脂およびアクリル樹脂を利用して異方性媒体を模擬する試料を作成し、その弾性波速度を測定した。その結果は個々の樹脂の弾性特性のバッカス平均から導出した弾性テンソルに基づく予測値と良く一致し、VTI媒体ではSv波、HTI媒体ではSh波の速度で伝わることが確認されたが、P波速度では予測値と測定値に乖離があり、さらなる検証の必要性が示唆された。
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36) 可搬型超音波速度測定装置を用いた弾性率異方性測定の試みと遮蔽層健全性評価 | ||
| ○柏原 功治・谷本 和優・岩下 勝俊(1) 1:石油資源開発 |
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| 11月27日 | 13:40〜14:00
本研究では、物理誘導型ニューラルネットワーク(Physics-Informed Neural Network: PINN)に基づくAVO(Amplitude Versus Offset)インバージョン手法を提案する。本手法のワークフローは、1次元畳み込みニューラルネットワークを用いて、ウェーブレット推定と順・逆AVOモデリングを統合的に実行することで初期モデルやウェーブレット情報を必要とせずに弾性パラメータの直接推定を可能とする。合成データに対する検証実験では、弾性特性およびウェーブレットの高精度な推定および再現が確認された。さらに、実データへの適用では良好な予測結果が示された。本手法は、従来のインバージョン手法に対し、物理的整合性と計算効率を兼ね備えた有望な代替手段を提供するものであり、将来的にはより複雑なインバージョン問題への応用展開が期待される。
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37) 先験情報を必要としないPINN型AVOインバージョン手法の開発 | ||
| ○石鍋 祥平(1) 1:INPEX |
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| 11月27日 | 14:00〜14:20
本研究は.3D地震探査データの解釈における手動作業の効率化を目指し.マレーシアのCentral Luconia Provinceにおけるカルスト化炭酸塩岩貯留層の分布特定にAIを適用した.カルストの分布把握は.掘削時のリスク低減に不可欠だが.手動解釈は多大なリソースを要する.既存のAI研究においては.精度向上が課題であったため.本研究ではTransformerベースのモデルを導入した.適用において.学習データにおける極端なデータ不均衡問題等の課題解決をおこなった.最終的には地震振幅データに加え.複数のアトリビュートを追加の入力チャンネルとすることで.精度向上を行うことができた.特に不連続性の利用は.メモリ消費を抑えつつ精度の改善に最も効果的であった.本研究は.不均衡データという実データ適用における課題とその具体的な対策を示し.AIによるカルスト構造分布推定をおこなった.
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38) Seismic Facies Mapping of Karst Using the Segmentation Method : Case study in central Luconia, Sarawak | ||
| ○坂口 弘訓・松島 潤・松田 文彰(1),Siti
Nur Fathiyah・Nurul Fatin Izzatie・Nik Nur Anis Amalina(2) 1:東京大学大学院 新領域,2:ペトロナス工科大(UTP) |
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| 11月27日 | 14:20〜14:40
"本研究は、過去の被害地震における地震動の再現を目的とした、「その1」(東ほか, 2025)に続くものである。「その1」では16個の地震のデータを用いて解析したが、今回は新たに得られた地震を加え、合計46個の地震データを用いて同様のAIモデルで予測を行った。その結果、前回よりも高い相関係数を得ることができた。データ拡張に使用しない1つの地震をテストデータとして予測を行った結果、テスト対象の地震によって相関係数にばらつきが見られた。また、より高い相関係数を得ることを目的として周波数フィルタの適用を検討したが、その効果は認められなかった。"
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39) 機械学習を用いた仮想地震観測網の構築ー観測点ごとにAIモデルを設定する方法(その2)ーフィルターの適用と、新しいデータセットに関する検討 | ||
| ○石川 直輝・東 宏幸(1),渡辺 俊樹(2),白石
和也(3),松岡 俊文(4),小田 義也(1) 1:都立大,2:名大,3:JAMSTEC,4:深田研 |
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| 11月28日(金) 第1会場(情報プラザ,1F) | ||||
| セッション | DAS・人工震源 | |||
| 座長 | 落合 努(神奈川大) | |||
| 11月28日 | 9:30〜9:50
"PASS(Portable Active Seismic Source)は、九州大学・東京大学で開発された可搬型の小型振源システムであり、株式会社ウェーブレットにより社会実装が進められている。本発表では、土木分野から地熱・CCS分野までの適用事例と開発の進展を紹介する。土木分野では、超小型機(1.8?5.5 kg)を用いて3?4 Hzの低周波数帯をカバーし、深度約20 mまでのS波構造探査や埋設物検知を実現した。実証試験では、浅部のコンクリートブロックや水道管の高減衰領域を検出できた。一方、地熱・CCS用途では、より高出力のPASS P1500(1.5 kN@30 Hz)およびM1(2.4 kN@16.6 Hz)を開発し、INPEX南阿賀鉱場で深度約2,000 mまで信号伝達を確認した。さらに、複数台の同期運転による出力拡大や、M1の可搬化による反射法振源への応用など、適用性拡大に向けた改良を進めている。"
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18) 小型振源システムPASSの社会実装への道程ー土木から地熱・CCSへー | ||
| ○高橋 明久(1),辻 健(2),野村 雅俊・北折
尚也・濱嶋 多加志(1),木下 順二(3),Fernando Lawrens(1),Tarek Imam(2),Reynaldi
Subangkit(1) 1:ウェーブレット,2:東大,3:九大 |
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| 11月28日 | 9:50〜10:10
2021北海道森町の濁川地区にある北海道電力の森地熱発電所の周辺で坑井内の光ファイバーを用いた地熱探査を行った。得られた結果は2次元の結果となった。その不十分さを補う目的で2024年度に濁川地区の3次元構造を求めるための調査を行った。これを用い理論DAS波形と理論地表地震計記録を作成し実際の観測記録を満足する速度構造を求めた。DAS記録から反射波を取り出し、3次元速度構造を持ち反射点に戻すマイグレーション処理を実施した。反射波のイメジング結果と地震波速度構造を併合したものを作成した。
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19) 北海道森・濁川地区におけるDASを用いた地熱探査 | ||
| ○笠原 順三(1),羽佐田 葉子(2),山浦 悠貴・斎藤
博樹(3),瀧口 喜(4),藤瀬 吉博(5) 1:静岡大学,2:大和探査,3:(株)西日本技術開発,4:ENAA,5:WELMA |
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| 11月28日 | 10:10〜10:30
我々は光ファイバDAS記録を用いて,空間自己相関法や地震波干渉法解析を用いて表面波の位相速度を推定し,浅部S波速度構造を推定を試みている.しかし,DAS記録は水平動成分のひずみ速度を計測したものであり,通常行われている上下動成分の速度記録を用いた空間自己相関法や地震波干渉法を適用する際には,ラブ波の影響やひずみ速度記録であること等を考慮しなければならない.本研究では,3次元有限差分法シミュレーション記録を用いて,DAS記録の空間自己相関法や地震波干渉法解析による位相速度推定の精度を検証した.DAS記録の空間自己相関法では,ラブ波を考慮しない空間自己相関関数を用いることにより,理論値と整合的な位相速度を推定できた.上下動とDAS記録の空間自己相関法ではFukushima et al.(2024)の定式を用いることにより,理論値により整合的な位相速度を推定することができた.今後,不整形地盤等での適用を行い精度の確認を行う予定である.
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20) 光ファイバDAS記録を用いた位相速度推定法-差分法シミュレーション記録を用いた検証- | ||
| ○鈴木 晴彦(1),内藤 昌平・藤原 広行・中村
洋光(2),櫻井 健・小西 千里・小川 直人(1),武部 真樹(3) 1:応用地質,2:防災科研,3:三菱電機ソフトウエア |
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| 11月28日 | 10:30〜10:50
これから増加が見込まれる浮体式洋上風力発電の地盤調査を見据え,水深50m以上の海域における微動アレイ探査・表面波探査について開発を進めている.海底の傾斜の影響やOBS設置不良の影響を最小限に留めるために,直径10インチの耐圧ガラス球に収まる小型の1軸ジンバルを製作した.陸上での試験により30°の傾斜がある場合でも水平に設置した場合と同様の記録が得られることを確認した.また,海底では微動の高周波成分が観測しにくいため,水中切り離し装置を活用した重錘落下式振源を用いて大水深表面波探査を試みた.新潟市沖合で試験を行い,海底面下20m程度までのS波速度構造を推定することに成功し,本手法が浅部のS波速度構造を求めるのに有効であることを確認した.今後も改良を続けて浮体式洋上風力発電の地盤調査で使用できる技術として確立を図っていく.
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21) 重錘落下式振源を用いた大水深表面波探査 | ||
| ○浅野 泰寛・松原 由和・今井 幹浩・鴨下 智裕・平出
亜(1),佃 薫・寺田 育正・前川 拓也・柴田 英紀(2) 1:応用地質,2:日本海洋事業 |
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| 11月28日(金) 第2会場(第3会議室,3F) | ||||
| セッション | 地中レーダ・重力探査 | |||
| 座長 | 野 徹雄(JAMSTEC) | |||
| 11月28日 | 9:30〜9:50
海底堆積物の3つの熱物性(熱伝導率,熱容量,熱拡散率)は海底下の温度構造や間隙流体移動等の推定に重要な制約条件を与える.海底堆積物の熱伝導率は多くの研究で計測されているが,熱容量と熱拡散率については計測が少ない.本研究では,新潟県上越市沖合(上越沖海域)の表層型メタンハイドレート賦存域及びその周辺において,遠隔操作型無人潜水機を使用して採取し海底堆積物の3つの熱物性を,デュアルニードルプローブ法を適用して計測した.熱物性の計測結果と比較するため,柱状堆積物試料の密度・間隙率計測を実施した.本講演ではこれらの物性計測の結果について報告する.本研究は,経済産業省のメタンハイドレート研究開発事業の一部として実施した.
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40) 海底堆積物の熱物性計測 | ||
| ○後藤 秀作(1) 1:産総研 |
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| 11月28日 | 9:50〜10:10
地表型地中レーダ(GPR)で非破壊計測できるタイムラプスWARRデータを速度解析することで,地中の体積含水率の経時変化を推定できる.本研究では,送信アンテナ1つと受信アンテナ7つから構成されるマルチアンテナGPRシステムを,貯水・排水過程のため池モデルの堤体の天端に一列に固定して,タイムラプス計測により時間的に連続したタイムラプスWARRデータを取得した.この7トレースのWARRデータは空間的に疎なため,センブランスを利用した速度解析等が難しい.そこで,この空間的に疎なWARRデータを扇形周波数フィルタで補間し,センブランス値のクラスターを利用した自動的な速度解析を適用することで,ため池の貯水・排水過程の堤体内の体積含水率分布の経時変化を推定することを目的とした.
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41) マルチアンテナ地中レーダを用いた貯水・排水過程のため池堤体のおけるタイムラプスWARRデータに対する補間と速度解析の適用 | ||
| ○及川 航貴・斎藤 広隆(1),黒田 清一郎・本間
雄亮(2) 1:農工大,2:農研機構 |
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| 11月28日 | 10:10〜10:30
地中レーダにおいて電波伝搬速度の評価は非常に重要である。良く知られているように電波伝搬速度は、比誘電率の関数として知られている。しかし、このときの換算式は、近似式であり、誘電損失が小さくかつ透磁率が真空の値の場合に成立する。既存の電気特性(比誘電率、導電率)データを参照すると、必ずしも近似式が成立するとは限らないと考えられる。近似式が成り立たない場合に、電波伝搬速度を厳密に計算するとどのような影響があるか、その場合に地中レーダの結果を解釈する上で、どのような影響があるかを考察する。
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42) 誘電損失が電波伝播速度に与える影響 | ||
| ○鈴木 敬一(1) 1:深田研 |
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| 11月28日 | 10:30〜10:50
2023年に得られた稠密重力探査のデータを用いて,阿蘇地域を含む広域解析を行った.更に,その後あらたに公表された反射法探査結果を参照して断層付近の地盤構造の詳細な再解析を行い,熊本地震の震源となった布田川断層および水前寺断層付近の深部構造を検討した.
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43) 熊本・阿蘇地域の重力解析 | ||
| ○駒澤 正夫・松山 尚典・張 嘉軒・鈴木
晴彦(1),遠田 晋次(2) 1:応用地質,2:東北大 |
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