12月4日(水) 第1会場(ギャラリー1,4F) | ||||
セッション | [CO2][資源探査1] | |||
座長 | 野 徹雄(JAMSTEC) | |||
12月4日 | 10:20〜10:40
CO2削減技術としてのCCSへの期待と共にジオメカニクスへの関心が高まっている。ジオメカニクスの検討においてはジオメカニカルモデルの構築が基礎となる。しかし、石油開発分野では、必要なデータの取得はこれまで貯留層区間に限定されることが多かった。データが取得されていない表層および上載層の力学特性を合理的に推定するため、深度と孔隙率の関係を整理するとともに、岩石物理モデルに基づく弾性定数の推定を行った。Hertz-Mindlinモデル、未固結砂岩モデル、セメンテーションモデルを利用し、圧密やセメンテーションを考慮した時の弾性波速度分布の特徴を整理した。さらに、CO2圧入に関する流動力学連成シミュレーションの検討から、上載層の力学特性が地表変動に与える影響について整理した。今後、これらの岩石物理モデルをフィールドデータに適用し、ジオメカニカルモデルの精緻化に関する効果を検証したい。
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1) 岩石物理学に基づく1Dジオメカニカルモデリングと地表変動シミュレーション | ||
○柏原 功治・清水 英彦(1) 1:JAPEX |
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12月4日 | 10:40〜11:00
CCS-CCUSに代表されるカーボンニュートラル事業に発展において、精緻なSubsurfaceデジタルツインの構築は、地下の流体流動に関わる時間履歴の把握・予想とモニタリングデータによる検証の観点から、本質的に重要な課題である。本研究では、国内におけるマルチスケール・マルチモードの構造探査データ及び関連する合成波形データを対象事例として、多様な波動場情報の抽出を通じた地下構造-物性モデル構築の基本コンセプトとワークフローを提示した。
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2) 地下構造モデルの高精度化に向けた多様な波動場情報の統合解析 | ||
○阿部 進・加藤 政史・越智 公昭・寺西
慶裕(1),清水 英彦(2),佐藤 比呂志・石山 達也(3) 1:地科研,2:石油資源開発,3:東大地震研 |
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12月4日 | 11:00〜11:20
CCSプロジェクトにおいて、貯留層内に圧入されたCO2のモニタリングは、漏洩リスクの予測、貯留効率の向上、コスト削減、そして誘発地震リスクの低減において重要である。また、モニタリングから得られる情報は、CCSプロジェクトの社会的受容を得るためにも欠かせない。本研究では、小型地震源とDASを活用した海域CO2貯留サイトに向けた新しいリアルタイムモニタリングシステムを提案する。小型スピーカーを搭載した無人探査船(ASV)が連続的に信号を発信することで、海域貯留層を効果的に監視することが可能である。さらに、海底近くに設置するための音源スピーカーも設計している。小型震源装置とDAS技術の組み合わせにより、広範囲にわたる複数の貯留層を比較的低コストで継続的にモニタリングすることを目指している。
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3) 海域CO2貯留サイトのリアルタイムモニタリングに向けたシステム開発 | ||
○辻 健・Tarek Imam・Ahmad
Ahmad・坂本 和敏・喜岡 新(1),植木 正春・伊藤 正(2),町島 祐一・海老原 悠馬(3) 1:東大,2:UETAX,3:LAZOC |
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12月4日 | 11:20〜11:40
北海Sleipnerにおいて大規模なCCSプロジェクトが実施され、CO2圧入の前後で取得された4次元反射法地震探査に基づいて4次元地質モデルと詳細物性分布が公開されている。この4次元地質モデルを用いることにより、ミュオグラフィと弾性波の融合探査の有効性を実フィールドスケールで実証する。り多くの統計が必要であるが、ミュオン数、標準偏差、エネルギースペクトルの比較に基づくこれらの初期結果は有望性を示唆している。これにより、宇宙線ミュオンを使用して、異なる飽和レベルを区別できることが示唆される。また、計算時間を短縮するために、MUSICやEcoMugなどのコードを使用し、段階的なシミュレーションプロセスを提案し、これにより、精度を保ちながらも全体の計算時間を大幅に削減することも考えている。
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4) Sleipner CCS projectの4次元地質モデルを用いたミュオグラフィと弾性波の融合探査 | ||
○松島 潤・バシリ ハミッド(1),児玉 匡史・横田
俊之(2),アリ モハメド・ブチャラ ファテ・エルスランボリ アハメッド(3),田中 宏幸(4) 1:東大・院・新領域,2:産総研,3:ハリファ大学,4:東大・地震研 |
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12月4日 | 11:40〜12:00
"地球温暖化対策としての二酸化炭素地中貯留(CCS)は,喫緊の課題である.CCSおよびCCUSの実施にあたっては、貯留層モニタリングが必須である。本講演では、株式会社INPEXの南阿賀フィールドの実証坑井に設置した光ケーブルによる観測で、小型振源システムPASS (Portable Active Seismic Source)による振動が深度2,200 mまで到達したことを報告し、PASSがCCSモニタリングのための効果的なツールであることを示す。"
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5) 地下2,200 mに到達したPASS振動ーCCS連続モニタリングに向けてー | ||
○高橋 明久(1),辻 健(2),木下
順二(3),濱嶋 多加志(1),仲山 祥太郎(4),毛利 拓治(5) 1:ウェーブレット,2:東大,3:九大,4:INPEX,5:JOGMEC |
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セッション | [資源探査2][金属] | |||
座長 | 鈴木 惇史(JX金属探開) | |||
12月4日 | 13:30〜13:50
海底熱?鉱床を対象とした海底電磁探査データの効果的かつ実?的な解釈として,過渡応答よりIP効果を抽出し,鉱体の分布を評価する?法を検討した.見掛導電率の変化率を使用してIP効果を同定する手法を提案し,モデル計算によってIP効果抽出可能な条件が検討された.また,鉱床域で取得されたデータへの適用によって,本手法は簡便な処理で鉱体のIP効果を示す箇所を抽出できることが示された.
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6) 海底電磁探査データの効果的かつ実用的な解析(1)〜海底電磁探査データのIP効果抽出〜 | ||
○中山 圭子(1),遠藤 仁(2),斎藤
章(3) 1:(有)ジオ・ブレス,2:RedStoneGEO,LLC,3:早稲田大学 |
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12月4日 | 13:50〜14:10
海底金属鉱床探査を目的とした時間領域電磁探査データの効率的かつ実用的な定量解析手法について検討を行った。取得データはIP効果を含む場合も多いため、解析も通常の導電率のみならず、IP効果についても行う必要がある。解析手法の検討および解析結果から、制限のある実測データを用いて海底金属鉱床が定量的に評価可能であることが示された。
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7) 海底電磁探査データの効率的かつ実用的な解析(2):定量解析 | ||
○Masashi Endo(1),Keiko
Nakayama(2),Akira Saito(3) 1:RedStoneGEO,2:GeoBless,3:Waseda Univ. |
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12月4日 | 14:10〜14:30
小笠原諸島・青ヶ島海域では、金濃集度が高い硫化鉱物が海底面付近で確認されている。しかし、これらの硫化鉱物の空間的広がりは不明であり、資源量や生成メカニズムが未解明のままである。硫化鉱物は極めて低い比抵抗を示すため、低比抵抗体に感度を持つ電気探査は硫化鉱物分布の可視化に有効である。本研究では、鉛直電極アレイを用いた海底電気探査法を実施した。鉛直式海底電気探査では、ROVから電極を吊り下げ、起伏に富む海底でも海底面付近で電気探査を実施でき、自然電位異常域の検出、海底カメラ映像取得も同時に行える特徴をもつ。本探査を青ヶ島沖熱水噴出地域で実施し、海底下比抵抗構造を逆解析により推定した結果、水平方向に幅100m、鉛直方向に厚さ20m程度広がる低比抵抗域を熱水プルーム付近に確認でき、検出された自然電位異常域付近に分布していた。よって、本研究でみられた低比抵抗域は硫化鉱物を多く含む領域である可能性が高いと考えられる。
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8) 鉛直電極アレイを用いた海底電気探査による青ヶ島海底熱水域の海底下比抵抗構造 | ||
○北谷 凌一・石須 慶一,後藤 忠徳(1),岩本
久則(2),笠谷 貴史(3) 1:兵庫県立大,2:日本海洋事業(株),3:JAMSTEC |
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12月4日 | 14:30〜14:50
中央海嶺や島弧-背弧系の海底に存在する熱水噴出孔周辺には,海底熱水鉱床が分布し,新たな金属資源として注目されている.船上や自律型無人潜水機(AUV)からのマルチビーム音響測深機 (MBES) による探査で,海水中の音響異常として熱水噴出の兆候を捉えることが可能で,近年では物体検出モデルを用いた自動検出手法も検討されている.しかし,実際の探査データでは熱水シグナルの含有率が極めて低く,従来手法では偽陽性が多発する問題がある.本研究では,こうした不均衡なデータセットにおいて偽陽性を減少させるため,物体検出モデル(YOLOv8l)の出力に移動平均を用いた時系列解析を組み合わせた.その結果,精度評価指標のprecisionがフレーム単位で0.425から0.582,熱水イベント単位で0.142から0.541に向上した.熱水イベント単位での評価方法を構築することで,実際の探査における有用性を適切に評価可能となり,本手法が実際の熱水探査に有効である可能性が示された.
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9) AUV MBES画像からの新たな海底熱水活動の高精度検出手法の開発 | ||
○玄田 貴之(1),見邨 和英(2),中村
謙太郎(1),中谷 武志・北田 数也(3),安川 和孝・加藤 泰浩(1) 1:東大,2:産総研,3:JAMSTEC |
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12月4日 | 14:50〜15:10
海洋研究開発機構で開発した鉛直電極アレイによる電気探査装置は、鉛直電場による自然電位異常域の検出と比抵抗構造を同時に取得できると共に、他項目のセンサによるデータ取得やカメラ観察も行う事が出来ることは、海底熱水鉱床探査において高効率な探査を実現できる。本講演では、改良された鉛直電気探査装置の概要について述べると共に,民間企業船舶による新しい運用法に関して紹介する.それぞれの試験観測の結果,既往文献の結果と調和的なデータを取得することが出来た.
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10) 鉛直電極アレイを用いた海底電気探査装置の利活用 | ||
○笠谷 貴史(1),岩本 久則(2) 1:海洋研究開発機構,2:日本海洋事業 |
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12月4日(水) 第2会場(大会議室,4F) | ||||
セッション | [土木1][防災1][地震1] | |||
座長 | 中山 圭子(ジオプレス) | |||
12月4日 | 10:20〜10:40
2024年1月1日に発生した能登半島地震(Mj7.6)では,最大震度7と半島北部広域にわたる複数点の震度6強が分布するという能登半島北部全体を激烈な地震動にさらした.現地地震被害調査と地震観測地点と被害集中地点で微動調査を実施した.輪島市中心部の河合町では,倒壊・全壊などの重度の被害が見られた中心部では,0.5秒から1秒程度の卓越周期の地盤が多かった.震度6強を記録したK-NET輪島の周辺では建物被害は軽度であったが,平坦地になると被害が重度となり卓越周期が長くなり,0.5秒以上となると倒壊・全壊の率が高くなり,建物被害に地盤の増幅特性が大きくかかわっていることがわかった.
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27) 2024年能登半島地震における地震計地点と被害地点での微動特性 | ||
○森 伸一郎(1),林田 拓己(2) 1:愛媛大学,2:国研 建築研究所 |
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12月4日 | 10:40〜11:00
微動アレイ探査の特長は,地震計アレイの直下の速度構造が,得られることである.この特長によって,微細な速度構造,例えば地中の空洞を検知できる.市販の微動アレイ探査装置の探査深度は,地震計の展開長と同じである、探査深度が小さい装置は,微動アレイ探査の優れた特長を生かしていないことになる.微動アレイ探査は,公共事業の設計・計画に使われる.微動アレイ探査の適用の条件,速度構造の範囲,探査深度・解像度などの性能の公開は,必要である.微動の計測において,風や音の影響を避けて,地盤の微小振動を忠実に記録するために,重たい高感度地震計を地盤に固着させている.12月と5月に,野外で円周5点のSPAC係数を求めた.方位毎のSPAC係数を整理すると、同じものはなかったが,12月と5月の円周平均したSPAC係数は、同じであった。円周平均したSPAC係数の再現性が、確認できた.
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28) 空間自己相関(SPAC)法の観測点数と探査深度に関する考察(その2) | ||
○林 久夫(1),高木 俊男(2),原口
強(3) 1:ジオックスコンサルタント(株),2:復建調査設計株式会社,3:株式会社 STORY |
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12月4日 | 11:00〜11:20
赤外線サーモグラフィ法によって橋梁構造物の浮き・剥離検出は実用化の目途が立っているが,温度変化の少ないトンネルの覆工コンクリートでは判断が難しい.そこで,覆工コンクリートを人工的に加熱する方法が数例提案されているが,短時間に温度を上げる方法や加熱装置に苦慮している.そこで本研究では,発想を転換して覆工コンクリートを冷却することとして,変状を模擬した供試体を作成し,検出方法の検討と,浮き・剥離の検出精度の確認を行ってきた.本稿では,実トンネルでの検証として,矢板工法トンネルにおける変状に対して適用した事例を報告する.
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29) 赤外線サーモグラフィ法によるトンネル覆工コンクリートの浮き検出手法の検証 | ||
○中村 真・下浜 蒼太・小島 諒也(1) 1:ネクスコエンジ関西 |
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12月4日 | 11:20〜11:40
筆者らは防災科学研究所が所有する人工降雨施設において,実物大盛土を対象とした比抵抗モニタリングを実施し,降雨によって盛土が崩壊するまでの過程を計測することに成功した.本稿はモニタリングによって得られた知見を報告する.降雨実験は2回実施し,崩壊に至らなかったケースと崩壊に至ったケースの2種類のデータを取得することができた.両者を比較したところ,崩壊に至ったケースで二つの特徴的な変化があった.(1)一部の電極で接地抵抗が階段状に変化した.(2)法尻付近や天端の一部が高比抵抗に変化した.これらは崩壊前に生じた盛土の変形や地表面でのクラックの発生を示しており,比抵抗モニタリングによって崩壊の前兆を観測できたものと考えられる.
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30) 大型降雨実験施設を用いた盛土の比抵抗モニタリング | ||
○木佐貫 寛・小西 千里・小林 剛・矢部 満・石川
貴規(1),酒井 直樹(2),J.E. Chambers・P.I. Meldrum・P.B.Wilkinson・O.Kuras(3) 1:応用地質(株),2:防災科研,3:BGS |
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12月4日 | 11:40〜12:00
"手軽にスリングラム法電磁探査を実施できる装置として,GEM2(Geophex,Ltd.製)がある.しかし,バックグラウンドノイズ計測方法が難しい上,バイアスノイズ除去によるゼロ調整が安定せず,データの取扱いが難しい.そこで,本稿では新たな応答値設定法を提案する.当該地を均質大地と仮定して0.5,1.0,1.5mの3高度でキャリブレーション計測を実施することにより概算比抵抗を算出し,その比抵抗による各周波数の応答値をコントロールポイントにセッティングする手法である.これにより,同相・離相成分の周波数間の相互関係が安定し,エラーが少なく安定した比抵抗解析が実施できる.ここでは,応答値設定法を用いた調査例を紹介する."
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31) 多周波数型電磁探査装置(GEM2)の応答値設定手法の提案 | ||
○中村 直文(1) 1:日本物理探鑛 |
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セッション | [土木2][防災2][地震2] | |||
座長 | 森 伸一郎(愛媛大) | |||
12月4日 | 13:30〜13:50
2024年能登半島地震(M7.6)の震源域東部で、2024年夏にマルチチャネル反射法地震探査と海底地震計を用いた地震探査を実施した。この地震探査で得られる地殻構造のイメージングとP波速度構造から、能登半島地震の地震断層の形成に関連する地殻構造の特徴を明らかにする研究を実施する。
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32) 2024年能登半島地震震源域東部での地殻構造探査 | ||
○野 徹雄・藤江 剛・中村 恭之・高橋 努・尾鼻
浩一郎(1),石山 達也(2),赤間 健一(3) 1:JAMSTEC,2:東大地震研,3:地科研 |
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12月4日 | 13:50〜14:10
筆者らはSH波反射法の高度化,特に高い確度及び分解能の速度分布を得るためのひとつの手法としてフルウェーブフォームインバージョン(FWI)に着目し,devito,scipyなどのpython言語パッケージを利用して時間領域FWIプログラムを作成,同手法の適用性を検討するための基礎的な数値実験を実施した.数値実験では,CMP重合法の速度解析で得た速度分布を初期モデルとし,FWIにより高分解能化を試みた.安定的に高い確度及び分解能の速度分布を得るためには多くの課題があるものの,速度の増減傾向や形状は概ね再構成されていることからFWIはSH波反射法の高度化の一手法となりうるものと考えられる.今後,これらの課題を検討及び解決し,FWIの実用化に向けて歩みを進めたい.
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33) 浅層SH波反射法の高度化を目的とするFWIの基礎的な数値実験 | ||
○今吉 隆・竹本 哲也(1) 1:阪神コンサルタンツ |
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12月4日 | 14:10〜14:30
雑微動を用いた地震波干渉法は地下構造のイメージングやモニタリングなど様々な目的で利用されている.地震波干渉法は等方的な波動場を仮定するが,実際の波動場は等方的でない場合が多く,解析結果に誤差を生じさせる可能性がある.本研究では,レイリー波の到来方向がSpatial-phase zone(SPZ)内にあるデータを選択するcomponents-coherency-weighted stack (CCWS) 法を適用した.2014年から2017年までのHi-netのデータを用いて,レイリー波の到来方向を推定した.到来方向がSPZ内にあるセグメントを選択して相互相関関数のスタッキングを行った.その結果,いくつかの観測点ペアでは,CCWS法によってSN比が改善された.一方で,位相をずらしたRadial成分と鉛直成分の相関係数が低い地域において,CCWS法の効果は限定的である可能性を示唆した.本手法は,特に波の指向性が強い環境において,地震波干渉法の精度向上に寄与すると考えられる.
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34) CCWS 法を用いたレイリー波の到来方向を考慮した地震波干渉法 | ||
○二宮 啓(1) 1:産総研 |
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12月4日 | 14:30〜14:50
盛岡市中心部において,0.6mと10mの半径の三角アレイを用いた微動探査を稠密に実施し,地下30mまでのS波速度構造モデルを推定した.その結果,盛岡市中心部の表層は概ねS波速度が速いことが明らかとなった.得られた速度モデルから地表下30m平均S波速度を算定し,表層地盤増幅率を評価した.実測増幅率とJ-SHISの増幅率,アンケート震度分布との比較から,J-SHISで高い増幅率が想定されている大通地区での増幅は認められない結果となった.また,南大通地区では増幅率と震度の揺れやすさの一致から揺れが大きくなる地域であることが分かった.盛岡市北西部で実施した既往の微動観測から得た地盤増幅率と中心部の結果を統合して,盛岡市域の増幅率分布を評価した.J-SHISやアンケート震度との比較から,盛岡市北西部では両者共に大きい値を示し,中心部では小さい値を示すように,増幅や揺れやすさが概ね一致していた.
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35) 稠密微動アレイ探査に基づく盛岡市域の表層地盤増幅率の評価 | ||
及川 兼史朗(1),○山本 英和・齊藤
剛(2) 1:岩手大学大学院,2:岩手大学 |
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12月4日 | 14:50〜15:10
2024年1月1日に発生した能登半島地震は、石川県輪島市や志賀町で最大震度7を観測し、多くの木造家屋やインフラ施設で被害が発生した.筆者らは、地震発生後の1月下旬から3月下旬にかけて複数回現地を訪れ、被害状況やその原因について調査を進めている.ここでは、七尾市内の二つの建物の被害状況が大きく異なる地区(七尾市街地と田鶴浜地区)を中心に単点の微動観測と、微動アレイ探査を実施した.単点観測かでは、H/Vスペクトル比を用いた分析を行う.また、アレイ探査では、位相速度を求め逆解析によりS波速度構造の推定を行った.単点微動からは、2つの地区で震動特性が異なることが確認できた.また、アレイ探査から得られた位相速度でも各地区の顕著な差が確認された.今後は、推定した地盤特性からサイト増幅率の違いや建物被害との関係について検討を進める予定である.
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36) 2024年能登半島地震の被災地における微動アレイ探査 | ||
○落合 努・朱牟田善治(1)・小田
義也(2)・長谷川延広(3)・荏本 孝久(1) 1:神奈川大学,2:東京都立大学,3:東京電機大学 |
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12月4日 | 15:10〜15:30
京都盆地において浅部の三次元的な地盤構造を求めるために、人工振源を用いた表面波探査や微動アレイ探査、単点三成分常時微動の測定を行った。表面波探査や微動アレイ探査を行って分散曲線を求めた地点は約25点、単点三成分常時微動の測定を行って水平上下振幅比(H/V)を求めた地点は約270点である。H/Vには、盆地北部では0.4~2Hz、盆地南部では0.2~0.4Hzの明瞭なピークが見られた。得られた分散曲線およびH/Vから、深層学習により浅部の三次元S波速度(Vs)構造を推定した。深層学習では、まず分散曲線から求めたVs構造を教師データとして、H/Vから一次元Vs構造を求め、次に得られた一次元Vs構造を教師データとして、表層地質や微地形区分などから三次元Vs構造を推定した。推定された深度30mまでの平均Vsは、盆地北部では250~500m/sec、盆地南部では150~250m/secであった。
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37) 京都盆地における表面波探査・微動アレイ探査および単点三成分常時微動の測定 | ||
林 宏一(1),鈴木 徹・横澤 航生・○坂西
啓一郎(2),稲崎 富士(3),美馬 健二(4),小西 千里・鈴木 晴彦(5) 1:京大防災研,2:モニー物探,3:無所属,4:太田ジオリサーチ,5:応用地質 |
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12月4日(水) 第1会場(ギャラリー1・2,4F) | ||||
セッション | ポスター | |||
座長 | 辻 健(東大) | |||
12月4日 | 15:50〜17:50
地震時に記録されたカメラ映像を分析・利活用することは地震動の理解や防災研究にとって価値のあることである.そこで本研究では物体追跡を利用手法して2024年能登半島地震時の車載カメラ映像から地震動やそれに伴う事象の分析を試みた.その結果,時刻歴波形やスペクトルを描くことによって定性的に地震動特性や構造物被害の時間特性を示すことができた.そして,この結果は地震時のカメラ映像を空間的な地震動特性の解明の手段として活用する可能性を示すことにもなったと言え,強震観測網を補うツールとしても活用できるようになるかもしれない.
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P-1) 2024年能登半島地震時のカメラ映像を用いた強震動に伴う事象分析の試み | ||
○守屋 和馬・山田 伸之(1) 1:高知大 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
地表に設置した光ファイバーを用いる分布型音響センシング(Surface-DAS)記録の妥当性評価では、速度型ジオフォン記録との比較が有効である。本報告では、速度型ジオフォンとSurface-DAS記録を比較する際の理論関係式について再考し、光ファイバー軸方向以外のひずみも考慮する三平方の定理に基づく関係式と従来用いられてきた水平速度場の空間微分による関係式の2通りに対し、実データ及びシミュレーション結果の比較を行った。その結果、カケヤ発震等で発生する波動振幅程度では両者に差は生じず、振幅が大きくなると差が生じることが分かった。また、ジオフォンとS-DASのひずみ速度を比較したとろ、伝播速度の速い波動と遅い波動で差異が確認された。ジオフォン間隔をゲージ長に近づけたところ、この差異は見られなくなり、ジオフォン記録とDAS記録の比較の際には適切なジオフォン間隔で検討する必要があると考えられる。
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P-2) 地表に設置した光ファイバーによるDAS計測と三成分速度型ジオフォン記録の理論的・数値的及び実データによる比較 | ||
○森 敬志郎(1),小林 佑輝・成瀬 涼平(2),池田
達紀(1) 1:九大,2:INPEX |
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12月4日 | 15:50〜17:50
有限体積法は、有限要素法と同じく地形の考慮及び局所細分化セルの適用が可能な数値解析手法の一種である。また、随伴状態法は、逆解析における目的関数の勾配ベクトルを簡単に計算することのできる方法であり、地下構造逆解析や工学分野における最適化等で使用されている。筆者は、これらの手法をMT法3次元逆解析に適用した3次元MT法逆解析プログラムを開発し、テストモデルを用いて検証を行った。その結果、地形及び地下比抵抗構造不均質性を考慮した解析が可能であることが確かめられた。
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P-3) 随伴状態法を用いた3次元MT法逆解析プログラムの開発 | ||
○鈴木 惇史(1) 1:JX金属探開 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
油ガス層は海底下で高比抵抗を示すため,人工電流源を用いた海洋電磁探査法が広く用いられている.その際の地下比抵抗構造の推定精度は,電磁探査データとその測定誤差に着目して,様々な手法で評価されている.しかし,調査海域の水深の違いによって,構造推定精度がどの程度異なるかは系統的に調べられてはおらず,特に浅海域での精度については定量的に議論されたことはない.本研究では,マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いることで,地下比抵抗構造決定精度の誤差推定を行う.ここでは,水平成層構造を仮定して,数値計算によって作成した受信電場振幅値を観測値と見なして,比抵抗構造と比抵抗値の決定精度を同時に求めた.その結果に基づいて,浅海域と深海域での決定精度の違いを定量的に評価・議論する.
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P-4) マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた人工電流源海洋電磁探査における構造推定精度の評価 | ||
○橋 直暉・加戸 達也・後藤 忠徳(1) 1:兵庫県立大 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
地熱エネルギー資源の利用には、熱水対流の解析が極めて重要である。しかし、電磁探査(MT探査)により得られた複雑な地下比抵抗構造を用いて解析を行った実例はほとんどない。本研究では、詳細な3次元比抵抗構造が得られている雲仙温泉地域(長崎県)周辺について、熱水対流の数値シミュレーションを適用することを目的としている。一般的に、断層は地熱流体の通り道の役割を果たしているが、雲仙地域では活断層の南側でのみ明瞭な地表噴気や地下の地熱貯留層と思われる構造が見られ、北側ではみられない。このような本地域の特性を理解するために、本研究では解析ソフトウェア「HYDROTHERM」を使用した。さまざまな数値計算を実施した結果、地下構造のうち、特に断層に沿った水理構造が熱水循環にどのように影響するかを検討した。
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P-5) 雲仙温泉地域でのAMT探査に基づいた熱水対流シミュレーション | ||
○門田 真桜・山下 凪・後藤 忠徳(1) 1:兵庫県立大学 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
"地中レーダ(GPR)探査は地下埋設物の位置を把握するために有用な技術であるが,プロファイル測定で得られる画像(Bスキャン)から埋設物を特定することは初心者には困難であり,さらにワイドアングル測定も行って地中の電波伝搬速度を求めないと埋設物の深度を決定できない.これらの課題を解決する簡便な手法として,センブランス解析が用いられている(青池ほか, 2019)が,その有効性の定量的な評価は行われていない.本研究では,FDTDを用いた数値計算によってGPRデータを作成し,これに対してセンブランス解析を適用して,その有効性を検証した.その結果,埋設物を適切かつ簡便に特定でき,その水平位置も正しく同定できることが分かった.また埋設物の深度についても,多くの場合は10〜20%以下の精度で決定することができた."
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P-6) GPRプロファイル測定による埋設物の位置特定におけるセンブランス解析の有効性 | ||
野内 信乃・○後藤 忠徳(1) 1:兵庫県立大学 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
近年,機械学習(ML),特に畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を活用した手法が提案され,埋設物の自動検出や識別,解釈が効率的に行えるようになっている.しかし,これらの手法は多くの場合,教師あり学習を前提としており,埋設物の反射データを大量に準備する必要がある.埋設物の種類や形状の多様性により,反射異常データの準備は特に困難である.さらに,地域や機器によって背景ノイズが異なるため,一層の課題が生じる.本研究では,畳み込みオートエンコーダ(CAE)を用いて,GPRデータから教師データを必要とせずに異常を検出する手法を提案する.この方法は,背景ノイズを学習することで,地域特有の条件に柔軟に対応でき,教師データ作成の負担を軽減する.本発表では,路面下のGPRデータを用いたCAEによる異常検出の有効性を示し,さらに多様なデータに基づく結果と検出精度の課題について報告する.
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P-7) 生成モデルによる地中レーダ反射体検知手法について | ||
○磯 真一郎(1) 1:深田研 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
表面波探査において,観測位相速度データの逆解析による地下S波速度構造の推定では,従来から制約付き最小二乗法が主に用いられてきた.これに代わる手法として,近年スパース推定法の有用性が確認され,多分野で活用されてきている.スパース推定法における代表的手法であるlassoの拡張である連結lassoは,表面波探査における観測位相速度データの逆解析に適用可能であり,従来法に対する優位性も有している.連結lassoの解法として交互方向乗数法(ADMM)を適用した場合,2つのハイパーパラメータがあり,これらの値によって異なるS波速度構造モデルが得られる.最適なハイパーパラメータ,すなわち最適モデルを選択する上で,数種の情報量規準の適用を試みた.いくつかの数値例により,最適モデル選択における情報量規準の比較・検討を行った.
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P-8) 連結lassoを用いた表面波見掛位相速度データの逆解析(2)−情報量規準によるモデル選択− | ||
○河村 茂樹(1) 1:無所属 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
微動の会では観測された微動データを効率的に利用進ことに資するために平成20年から研究集会及び測定会を実施している。本報告では、愛媛県大洲市で実施した、小規模微動探査、2次元微動探査の結果について報告を行う。小規模微動探査や2次元微動探査により深度20m程度に工学的基盤が推定された。また、微動のH/Vスペクトルによる地盤タイプの分類を行うことができた。
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P-9) 大洲市における微動探査による地盤構造モデルの推定 | ||
○鈴木 晴彦(1) 1:応用地質(株)「微動の会有志」 |
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12月4日 | 15:50〜17:50
高知市街地を通る南北測線上でこれまで実施ができていなかった平野端部のやや標高の高い地点や速度検層のある地点付近での探査結果について報告する.現在は,位相速度が各点で得られ,端部の地点では,これまでよるも硬質地盤が推定されるものとなった。これらの結果を統合して,2次元断面構造の高精度の数値モデル化につなげていきたい.
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P-10) 高知平野の端部等での微動探査 | ||
○山田 伸之(1) 1:高知大 |
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12月5日(木) 第1会場(ギャラリー1,4F) | ||||
セッション | [石油・天然ガス][資源探査3] | |||
座長 | 後藤 忠徳(兵庫県立大) | |||
12月5日 | 9:30〜9:50
ゼロオフセットVSPデータ (ZOVSP)は、時間-深度関数の推定や合成地震記録の作成の他にも、Q値の推定でも広く利用されている。精度良くQ値を推定するために、ZOVSPデータ収録ジオメトリーによる1次元波動伝播モデリングのパラメトリックスタディを実施し、時間/空間サンプリング間隔がQ値推定に影響を及ぼすことが判明した。また、高減衰(低Q値)/大深度条件下で、Q値推定に影響を及ぼすノイズが、モデリング結果に記録されることもわかった。パラメトリックスタディの結果を考慮した上で様々な1次元速度モデルを構築し、地震波減衰特性をスペクトル比法で評価した暫定結果を示す。
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11) Q値推定のための1次元波動伝播モデリングのパラメトリックスタディと地震波散乱・内部減衰特性の評価 | ||
○大津 啓・松島 潤(1) 1:東大 |
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12月5日 | 9:50〜10:10
国内石油・天然ガス基礎調査事業では複雑な地質構造のより正確なイメージングを目指し,2023年度より反射法地震探査データ処理において,重合前時間マイグレーション(PSTM)に代わり重合前深度マイグレーション(PSDM)を導入した.本発表では衝上断層や褶曲で特徴づけられる調査海域における適用例を紹介する.PSDM用速度モデルはビーム型マイグレーションと走時トモグラフィを用いて構築し,局所的な速度不均質が顕著な浅部ではfull waveform inversionを用いて速度モデルを追加的に更新した.PSTMとPSDMの結果を比較すると,PSTMではイメージングが困難であった断層やその下盤側の反射イベント等がPSDMでは明瞭に可視化された.このような構造イメージングの向上は,PSTMでは抽出が困難であった断層下盤側におけるリードの新規摘出に寄与し,新たな探鉱余地の創出につながるものと期待される.
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12) 国内石油・天然ガス基礎調査事業の技術更新:深度マイグレーションの導入 | ||
○川野 由貴(1),中島 健次・小松 和香(2),針谷
駿・古川 稔子(1),Wu Andrew・Novosel Steve(2) 1:JOGMEC,2:OGF |
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12月5日 | 10:10〜10:30
"多点間の地中伝搬の特性を求めるために,複数の送信点と複数の受信点の間で複数の符号を同時に送信し,複数の受信点で各送受信間の伝搬特性を干渉なく検出するための符号の構成法について述べる.絶対値が1の複素数を離散的フーリエ変換し周期的擬似雑音系列を生成する原理に基づき,絶対値が2未満の実数値を取り,直交する系列と,絶対値がほぼ1に近いもう一つ系列を作り、0値挿入して畳み込むことによって,一定の時間間隔の間で無干渉になる周期系列を作る. 系列の周期,系列数,無干渉区間は自由に設定可能である.そして,幅が一定の方形パルスに系列の値を重みづけて符号を作る. 例として水平距離20[m],深さ5[m],減衰定数[1dB/m]の反射伝搬モデルに対して1周期の符号を伝送し、2周期の参照符号で検出するシミュレーションを行い,雑音が混入し減衰を受けた大小2符号が無干渉で検出されることを示している."
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13) 複数の震源の同時励振による地中弾性波の多点間伝搬特性の測定のための震源波形構成法 | ||
○棚田 嘉博(1),井口 正人(2),筒井 智樹・中道
治久(1) 1:京大防災研,2:鹿児島市役所 |
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12月5日 | 10:30〜10:50
DASや回転地震計などの観測機器の発展により、地震波勾配の観測が急速に進んでいる。それら観測機器で観測される地震波勾配の大きな特徴の一つとして、波長よりもかなり小さいスケールの構造に感度を持つことがあげられる。本研究では、波動勾配を用いて微細構造を検出する方法を開発し、数値シミュレーション、実験室データ、DASのフィールドデータを用いて、手法の評価を行った。
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14) DASを用いた微細構造の検出 | ||
○椋本 浩太(1),Yann
Capdeville(2),池田 達紀(3),Donatienne Leparoux(4),辻 健(5) 1:海洋研究開発機構,2:ナント大学,3:九州大学,4:ギュスターヴ・エッフェル大学,5:東京大学 |
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12月5日 | 10:50〜11:10
単一の超小型震源と単一の地震計を使用して、月面や火星で利用できるアクティブ地震探査システムを開発している。本研究で開発した震源装置は超小型ではあるが、信号を継続的に生成し、それらを重合することで長距離にわたり信号を伝達することができる。小型震源と地震計をローバおよびランダーに搭載することで、表面波解析を用いて深さ10メートルまでの三次元的な地質構造(S波速度)を明らかにすることが可能である。富士山で行ったフィールド実験では、この小型震源とジオフォンを用いて、2次元のS波速度モデルを推定することができた。さらに、2台のローバーに地震源と地震計を搭載することで、反射法および屈折法を用いた数百メートルの深さの調査が可能な自律型地震探査システムの開発を進めている。なお、本システムは、地球上(例えば土木分野)での利用も検討している。
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15) 月面および地球上で小型ローバを用いた自律探査システムの開発 | ||
○辻 健・Imam Tarek・喜岡 新・坂本
和敏・小野寺 圭祐(1),村上 文俊・塚原 均・越智 公昭・青木 直史・阿部 進(2),田中 智・春山 純一(3) 1:東大,2:JGI,3:JAXA |
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12月5日 | 11:10〜11:30
光ファイバーケーブルを用いてファイバーに沿ったひずみ速度を計測するDAS(Distributed Acoustic Sensing)計測は、長期設置に適したケーブルの特徴と高密度受振が可能である点から、CO2地下貯留のモニタリングへの活用が期待されている。ケーブルを地表に展開して主に地下浅部のモニタリングを行うS-DAS(Surface DAS)計測では、カップリングや敷設方向の違いによる振幅への影響が懸念される。S-DAS計測を自然地震観測に活用する場合、振幅への影響は、地震のマグニチュード推定への影響となって現れる可能性がある。
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16) S-DAS計測におけるファイバーケーブル設置状況の地震マグニチュード推定への影響 | ||
○成瀬 涼平・小林 佑輝(1) 1:INPEX |
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セッション | [地熱1][火山1] | |||
座長 | 落合 努(神奈川大) | |||
12月5日 | 13:00〜13:20
火山活動に伴う構造変化を能動的に検出することを目的とした反復地震探査では、人工地震のくりかえし発振に対する制約が少ない発振手段が必要である。発振専用の貯水槽は制約の少ない発振手段を実現するための回答の一つである。このたび桜島火山の麓で深さ10mの発振専用の水槽を建造し、エアガンの発振試験を行ったのでその結果について考察する。水槽建造場所は溶岩層の上に最大厚10mの降下軽石層が存在しており、地下水に不飽和であった。本講演では発振に伴う観測波形と実験後の貯水槽状態について報告し、不飽和降下軽石層中の発振にともなう水槽内外の現象と新たな発振設備の構成について考察する。
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17) 軽石層中の水槽におけるエアガン発振実験 | ||
○筒井 智樹(1),井口 正人(2) 1:京都大学,2:鹿児島市役所 |
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12月5日 | 13:20〜13:40
"地熱地域で生じる地下の変化の一つに,過剰な生産に伴い貯留層内部の圧力が下がり,液相が気相に変化することが挙げられる.地熱資源を持続的に利用するためには,このような貯留層の状態変化をモニタリングする手法の精度向上が重要である.我々は別府地熱地域で繰り返し精密重力測定と常時微動観測を並行して実施し両手法の経時変化を比較し,モニタリング精度向上に向けた検討を行った.生産活動が活発な地域では測定期間中に不規則な重力変化と速度変化を得た.これは生産活動に伴う貯留層内の飽和度変化によるもので,速度が急激に低下した時期については貯留層内部の蒸気化を示唆するものと考えられる.両手法を併用することで速度変化を算出する際に,重力変化を参考にしながら飽和度変化を反映する解析条件(バンドパスフィルタ,ラグタイム)に見当を付けられ,常時微動の速度変化から各回の重力測定の間における相変化の情報を補うことが出来る."
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18) 繰り返し精密重力測定と常時微動観測による地熱貯留層モニタリング | ||
○森藤 遥平(1),佐藤 浩章・栗山 雅之・窪田
健二(2),西島 潤(3) 1:電中研・九大院工,2:電中研,3:九大院工 |
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12月5日 | 13:40〜14:00
秋田県木地山地熱フィールドの地熱坑井内に設置した光ファイバーを用いて2回目の地球物理学的調査を実施した。DTSにより温度分布を、DASと地表地震計により地震波振動を記録した。坑井周辺の12か所で起震した。坑井内の温度は2070mで296℃であった。270℃を超えない1665mまでのDAS計測をおこなった。2022年度および2024年度に取得した坑井内のDAS記録と地表地震計の地震波記録から三次元Vp分布をもとめた。2022年の速度構造を東西に広げた地下構造を得た。木地山フィールドの西側ではVp=4.5km/sより早い地層は500mの深さに達している。北側ではVp=3.5km/sは1kmの深さにある。
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19) 秋田県湯沢市の木地山におけるDASを用いた第2回地熱探査(序報) | ||
○笠原 順三・羽佐田 葉子(1),鈴木 勝・高橋
智広(2),瀧口 喜(1),藤瀬 吉博(3) 1:エンジニアリング協会,2:東北自然エネルギー(株),3:WELMA |
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12月5日 | 14:00〜14:20
八丈島において、火山体内部構造探査を目的とした臨時地震観測が、2019年9月〜2020年3月と、2021年9月〜2022年3月の2回にわたり行われた。本研究では、この観測で得られた3成分連続地記録からH/Vスペクトル比を求め、地下構造推定を試みた。H/Vスペクトル比の形状の観測点ごとの類似性とその空間分布を検討するために、階層的凝集型クラスタリングの一種であるWard法を用いて相互相関係数を距離としてクラスタリングを行った。また、モンテカルロ法によりH/Vスペクトル比から速度構造の推定を行った。クラスターによる速度構造の違いと地質等の対応は必ずしも明瞭ではないが、東山と西山の形成年代や溶岩流の分布との対応が考えられる。
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20) 八丈島の連続地震観測記録から求めたH/Vスペクトル比の空間分布と速度構造 | ||
○渡辺 俊樹(1),小田 義也・東
宏幸(2) 1:名大,2:都立大 |
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12月5日 | 14:20〜14:40
火山島に仮設設置した地震計の観測結果から地震を抽出するために、機械学習に基づく2種類の地震検知モデルを適用した。1つのモデルは地震波形を画像として扱い、もう1つのモデルは時系列データとして扱う。前者は、P波初動、S波初動、ノイズをそれぞれ画像として扱い、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて地震の初動を決定する。一方、後者は、地震波形をノイズ、P波、S波を自然言語の順番のようなデータとして扱い、Self-Attention技術を用いて初期微動を決定する。島では、波や強風による樹木の揺れによるノイズが頻繁に発生し、かつ大きい。さらに、撤去を前提とした臨時観測であるため、ノイズを拾いやすい。これらの観測記録に両手法を適用した結果、時系列データとして扱う手法の方が、画像データとして扱う手法よりも高い検知性能を示した。
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21) 八丈島における臨時地震観測記録を用いた機械学習モデルの地震検出性能の評価 | ||
○東 宏幸(1),國政 光(2),Adrianto
Widi Kusumo・小田 義也(1),渡辺 俊樹(3),松岡 俊文(4) 1:都立大,2:東京ガス,3:名大,4:深田研 |
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セッション | 特別講演 | |||
座長 | 山根 照真 副会長(株式会社物理計測コンサルタント) | |||
12月5日 | 15:00〜16:00 | 宮崎県立西都原考古博物館における地中レーダー探査の取り組み | ||
東 憲章 氏(宮崎県立西都原考古博物館 副館長) | ||||
12月5日 | 16:00〜17:00 | 宮崎の強み:本格焼酎の魅力 〜製造からおいしい飲み方そして機能性・アルコール体質まで〜 | ||
水光 正仁 氏(宮崎大学名誉教授,一般社団法人 食の安全分析センター 代表理事) | ||||
12月5日(木) 第2会場(大会議室,4F) | ||||
セッション | [地下水][土木3][土質] | |||
座長 | 青池 邦夫(応用地質) | |||
12月5日 | 9:30〜9:50
地面に電流を流す際に容量性が高い物質によって起こる誘導分極(IP)現象は,これまでは主に金属硫化物を多く含む火山性塊状硫化鉱床(VMS)など金属鉱床で利用されてきた.同様に粘土鉱物でもIP効果が見られることから,粘土鉱物の多寡が支配する透水性の評価を目的とした適用が期待されている.欧米諸国では,そういった構造解釈を高精度化するための研究が進められている.しかし,欧米の安定した地質構造に対し日本のそれは複雑である.したがって,最新の知見が日本でも適用可能か確かめるため,IP効果を有する粘土質層が存在する西仁連川流域において調査を行った.測定結果はオープンソースライブラリであるpyGIMLiを用いて解析を行い,同地で行われたボーリング調査や比抵抗探査をもとに考察を行った.結果として,比抵抗分布では確認できない異常が充電率分布では確認され,IP効果を測定することで粘土質層を選択的に検出する可能性が示唆された.
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38) 地下構造解釈の高精度化を目的とした時間領域 IP 法電気探査:西仁連川流域でのケーススタディ | ||
○渡部 蒼・小森 省吾・上村 建人・市川
雅之(1) 1:産総研 |
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12月5日 | 9:50〜10:10
スペクトルIP(SIP)法電気探査は、地質構造解釈の高精度化,特に地下の透水性構造を明らかにする上で有効と考えられている.しかしながら,測定効率の低さ,送信波由来のノイズによる高周波数帯域のデータ取得の難しさが課題である.本研究では,新たに開発した測定効率に優れ送信波由来ノイズの影響を受けにくい時間領域IP(TDIP)法電気探査を用いSIP法と同等のIP特性を取得する手法を,浅部に粘土質層の成層構造が推定されている西仁連川流域で実施されたTDIP法電気探査データに対して適用した.これまでに,粘土質層に対応する深度領域において高い充電率を持つ時間領域データ(電流遮断後1ミリ秒〜2000ミリ秒)から,スペクトル変換対象とする周波数帯域(0.1Hz〜1kHz)で相対的に高い位相差を推定することに成功し,粘土質の多い層をSIP特性から明らかにできる可能性が示唆されている.
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39) 時間領域 IP 法電気探査技術の高度化:河川堆積層における適用事例 | ||
○小森 省吾・渡部 蒼(1) 1:産総研 |
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12月5日 | 10:10〜10:30
地中レーダは誘電率に差のある境界における電磁波の散乱応答を測定する装置である.そのため,地盤の誘電率を大きく変化させる水分率の変化に対する検出感度が高い.しかし,浅部地盤は散乱点が多いため,緩やかな変化をする地下水面上位の水分率遷移領域の検出が困難となる状況が多い.そこで,筆者らは,地下水位の変化前後で取得した2時期の地中レーダ記録に対して,2次元相互相関処理による水分率遷移領域の検出方法を提案する.本報告では,水位制御が可能な試験施設における実証試験結果を中心に,提案した解析手法の紹介を行う.実験の結果,水位の下降により遷移帯の下方移動と深部域の上方移動が認められ,地中レーダの時間シフト解析で特徴的な典型的な変化を捉えられたことがわかった.地中レーダを用いることにより比較的簡単に地盤の地下水面の把握が行えると,地盤の状態管理に有用な調査技術となる.
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40) 地中レーダ断面の2次元相互相関解析による地下水面変化の検出 | ||
○尾西 恭亮・鈴木 望夢(1) 1:土研 |
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12月5日 | 10:30〜10:50
新たなシミュレーション手法として、物理情報ニューラルネットワーク(PINN)が広く利用され始めている。しかし、従来のネットワークはネットワークの入出力に連続関数を扱うことができないため、適用条件に柔軟に対応する能力(汎化能力)に欠けている。この問題を解決するために、ディープラーニングマッピング演算子自体を学習できる手法がいくつか提案されている。本研究では、その1つであるDeepONetを用いて、境界条件を指定した透水係数分布から水頭値を算出する問題を解いた結果を報告する。
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41) 物理情報に基づくニューラルネットワーク(PINN)の汎化能力について | ||
○松岡 俊文(1) 1:深田地質研究所 |
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12月5日 | 10:50〜11:10
断層破砕帯を示すとされる活断層に沿った低比抵抗体は、地磁気地電流法(MT法)によって可視化されてきた。しかしながら、従来のMT探査の空間分解能は、地震時の不均質な地表地震断層のような詳細な3次元断層構造を識別するには十分ではない。本研究では、2016年に発生した地表地震断層の分布が明瞭な布田川断層において、空間的に稠密なAMT探査を実施し、地表下約1kmまでの3次元比抵抗構造を推定した。その結果、地下約100m付近では、地表の断層に沿って小規模な低比抵抗体が不連続に分布していた。さらに深部では、木山嘉島地溝の外側に沿って二つの低比抵抗体が存在し、深さ約1km付近で互いにつながっていた。前者は地下浅部の高間隙率部が過去の地震による地表近傍の断裂の不均質な分布と関連していることを示唆している。後者は主深部断層からの浅部副断層の分岐を可視化したものと考えられ、フラクチャの分布が断層に沿って非対称であることも示唆している。
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42) 布田川断層周辺の地表地震断層の分布と地下浅部比抵抗構造との関係 | ||
○山下 凪・後藤 忠徳・石須 慶一・天野 玲・山本
壮馬・杉谷 安優・藤原 奈々・橋 直暉・門田 真桜(1),山口 覚(2) 1:兵庫県立大,2:大阪市立大学 |
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セッション | [インフラ維持管理][埋設物][構造物] | |||
座長 | 山内 泰知(大日本ダイヤコンサルタント) | |||
12月5日 | 13:00〜13:20
重力探査は地下密度の不均質構造を重力異常として捉えることで地下地質構造を捉えることができる手法として用いられている。一般的に、重力観測値により得られる情報は定性的なものであり、重力異常源の深度等の情報を得るには、他の物理探査手法を組み合わせることが望ましい。一方で、重力観測値から直接的に地下の空洞深度を推定する手法が提案されており、重力異常の最大値とその重力異常幅などを用いた手法や周波数解析による深度分離を用いた手法なども報告されてきた。こうした背景から、本研究では実際の分布位置や深度が把握されている地下空洞を対象としたマイクログラビティ探査を実施し、これまでの深度推定手法を適用した上で、高精度に地下の空洞を把握する手法について考察した。本発表では、既存の手法をレビューし、その推定精度について考察するとともに、地下空洞の3次元的な分布形状の把握を行うための方法について報告する
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43) マイクログラビティ手法を用いた地下浅部の空洞探査 | ||
○八木 雅俊・笹谷 勇登・横田 健(1),澤田
壮一郎・野田 克也(2) 1:(株)地球科学総合研究所,2:(株)ジオシス |
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12月5日 | 13:20〜13:40
近年,コンクリート構造物の表面のひび割れ深さを効率的に推定する方法として,表面波の減衰を利用した推定式が提案されている.既往研究では,模擬ひび割れを有するコンクリート供試体を用いて表面波の減衰を測定し,この推定式に基づくひび割れ深さの推定を行った.その結果,実際の深さよりも深く推定される傾向が見られた.その原因として,模擬ひび割れ通過時にエネルギーが著しく失われている可能性や,波動が複雑化している可能性が示唆される.そこで本研究では,表面波の波動場を可視化し,詳細な挙動の把握を行うため,模擬ひび割れを有するコンクリート供試体を用いて再度測定を行った.その結果,表面波が同心円状に伝播する様子,一部で乱れる様子,ひび割れ通過時に大きく減衰する様子が見られた.また,ひび割れを境界とする2つのエリアで伝播速度に50m/s程度の差が認められ,粗骨材体積率に10%程度の差がある可能性が示された.
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44) ひび割れを有するコンクリート供試体における表面波伝播挙動の可視化 | ||
○秋吉 菜保子・東 宏幸・大野 健太郎・小田
義也(1) 1:都立大 |
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12月5日 | 13:40〜14:00
著者は,地中レーダの稠密探査データから埋設管路だけでなく反射係数の符号を同時に決定する新しい方法を開発した.双曲波面に沿って瞬時位相の余弦の平均を計算すると,その余弦は埋設管の線上で絶対値が1に近づく.テストサイトで取得したデータに適用した結果,瞬時位相の余弦のパターンから反射係数の符号が推定できた.埋埋設管の管種の特定に重要な手がかりが得られると考えている.
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45) 地中レーダ波形の瞬時位相を用いた埋設管路と反射係数符号の同時自動決定 | ||
○青池 邦夫(1) 1:応用地質 |
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12月5日 | 14:00〜14:20
本研究では、辞書学習を用いたスパースコーディングの有用性を検証するために、ミュオントモグラフィによって地下の密度構造を推定する際に、データ不足による劣決定問題に陥ったという状況を考えた。この状況において辞書学習を用いたADMMを適用することで、基本的にTotal Variation正則化を用いたADMMと同程度の精度で対象地下密度モデルを再構成することができることを示した。特にスパース性の低い地下密度モデルに対しては、辞書学習を用いたADMMがTotal Variation正則化を用いたADMMと比べて高精度の推定を行うことができることを示した。今後の展望として、実際の探査において考えうる様々な状況に対しての各手法の効果検証や辞書学習の精度向上などがあげられる。
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46) 辞書学習を用いたスパースコーディングによるミュオントモグラフィ | ||
○中野 亮平(1),児玉 匡史・横田 俊之(2),松島
潤(1) 1:東大,2:産総研 |
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12月5日 | 14:20〜14:40
地磁気誘導電流(GIC)による災害を予測・防止するためには、日本列島スケールの地下比抵抗構造が必要だが、日本では全国的な電磁気観測が行われておらず、大規模な比抵抗構造は未解明のままである。比抵抗と地震波速度は温度の関数であり、地震波速度の3次元構造は日本で利用可能であることから、画像ベースのディープラーニング手法に着目した。本研究では、地下の比抵抗画像と地震波速度画像の関係を学習し、地震波速度から比抵抗構造を推定することを試みた。敵対的生成ネットワーク(GAN)に基づくpix2pixを使用し、地下温度パターンから計算された比抵抗と地震波速度のペア画像1200枚で学習を行った。結果、pix2pixによる比抵抗構造の推定精度は高く、誤差は平均で数Ωm以内に収まった。今後、九州の阿蘇火山地域での検証を予定している。
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47) 深層学習を用いて地震波速度構造から比抵抗構造を予測する試み | ||
○山本 壮馬・後藤 忠徳(1) 1:兵庫県立大学 |
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12月6日(金) 第1会場(ギャラリー1,4F) | ||||
セッション | [資源探査4][地熱2][火山2][その他] | |||
座長 | 中村 直文(日本物理探鑛) | |||
12月6日 | 9:30〜9:50
産総研では斜面災害のリスク評価の基礎データとするため,従来の研究により整備したドローン空中磁気探査実施時の留意事項に基づき,阿蘇火山西麓の熊本県南阿蘇村吉岡地域の噴気地帯と大分県由布市畑倉地域の斜面災害発生箇所において,ドローンを使用した超高空間分解能な空中磁気探査を実施した.いずれも火山岩で構成される地域であり,全体的に磁気異常の高い地域である.しかし,熊本県南阿蘇村の噴気孔および斜面災害箇所周辺,大分県由布市の斜面災害箇所および土砂災害警戒区域周辺では,周囲に比べ磁気異常の低い領域が認められた.これらの低磁気異常域が熱水変質よる粘土化に伴う低磁化を反映しているとすれば,超高解像度の磁気探査を実施することで,熱水変質地域の斜面災害ポテンシャルを有する範囲を推定できる可能性がある.
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22) 斜面災害リスク評価のためのドローン空中磁気探査−熱水変質地域への適用 | ||
○大熊 茂雄・宮川 歩夢・阪口 圭一・星住 英夫・阿部
朋弥・米岡 佳弥・高下 裕章(1),米倉 光(2),川畑 大作・宮地 良典(1) 1:産総研,2:元産総研 |
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12月6日 | 9:50〜10:10
地熱資源のポテンシャル評価には,地熱系を構成する主要3要素,地熱流体,熱源,及び地熱貯留層についての地質学的知見掌握が重要である.空中磁気探査により得られる極磁力異常分布は東北地方においては火山分布との整合性が良好である.一方,磁力探査の地熱資源探査への適用はキューリー点到達深度解析など一部の利用に留まっている.重力データを加味,ポアソンの式に基づいた重磁力解析を適用,深部磁化の影響を取り除いた残留磁化を獲得した浅部貫入岩体や溶岩分布を推察する方法を東北地方下北半島に適用した.結果は良好で貫入岩体,溶岩,マトリックスの岩質,或いは磁化獲得やその正負の推察に資した.地熱資源評価の観点からは,流紋岩の凝灰岩への貫入及び基盤岩を覆う溶岩堆積が期待でき,熱源や垂直断裂型貯留層,或いは冷却節理による水平貯留層の発達が示唆される.高取得密度低空磁力探査実施による地質学的知見向上が期待される.
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23) 火山地帯における重磁力総合解析の適用 | ||
○水谷 滋樹(1) 1:川崎地質 |
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12月6日 | 10:10〜10:30
"海底熱水鉱床は、現在までに主に小笠原海域や沖縄海域に確認されている。国立研究開発法人 海洋研究開発機構(以下、JAMSTEC)の2010年の調査により、沖縄県の伊平屋北熱水域東側海底下(深度1,000m)に熱水層が広範囲にわたって存在することが明らかになった。この熱源は海底火山のマグマと考えられ、海底下に浸透した海水が熱せられ形成されたものと考えられている。熱源のマグマが存在する限り、海水は枯渇することがないため、この熱水は再生可能エネルギーと考えることができる。これまで熱水資源という観点からの調査が行われていなかった伊平屋北海域における熱水資源の分布を明らかにするため、磁気データから求めたキュリー点深度と地殻熱流量データから温度構造を推定する。"
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24) 沖縄海域の熱水資源量調査のためのキュリー点解析 | ||
○大久保 泰邦・山野 昭一・大里 和己・佐藤
真丈・佐藤 龍也(1),中林 岳也(2) 1:地熱技術開発株式会社,2:商船三井 |
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12月6日 | 10:30〜10:50
S-DASとは、地表に設置した光ファイバーによるDAS計測であり、重要なセンシング技術の一つである。S-DASの有用性向上を目指し、水平歪み速度場であるS-DAS記録からジオフォンで測定される垂直速度場を推定できるか、機械学習によるアプローチを行なった。ニューラルネットワークアーキテクチャに双方向LSTMを使用し、疑似合成データと実データのそれぞれについて検討を行なった。その結果、合成データではS-DAS記録から垂直速度場を概ね正確に推定する事ができた。また、学習時の入力に使用するS-DAS記録の数が推定精度に大きな影響を与えることが分かった。実データにおいても、垂直速度場を一部良好に推定する事ができた。今後、収録データの品質等を向上させる事により、さらなる推定精度の向上が見込まれる。本研究により、実データにおいてS-DAS記録から垂直速度場が推定可能である事が示された。
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25) 地表DAS計測で得られる水平ひずみ速度記録から垂直速度場の機械学習による推定 | ||
○天野 拓翔(1),小林 佑輝・成瀬 涼平(2),池田
達紀(1) 1:九州大,2:(株)INPEX |
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12月6日 | 10:50〜11:10
本研究では、静岡県西部(森町)において、約3km離れた精密制御震源ACROSS(Accurately Controlled Routinely Operated Signal System)の信号を地震計アレイで記録し、この信号を用いて10か月間の速度変化(dv/v)を解析した。ACROSSによって励起した信号から伝達関数を計算し、その中からコーダ波を確認して抽出した後、コーダ波干渉法を適用してdv/vを求めた。得られたdv/vを降雨、気温、季節変化などの外部環境と比較した結果、正弦波状の長期変動が観察されたと、降雨に伴うdv/vの明らかな減少を示す短期変動。長期変動を取り除き、その後、降雨による間隙圧の変化に起因する短期変動を分析した。
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26) ACROSSを用いたコーダ波干渉法による時間変化の推定 | ||
○馮 晨・渡辺 俊樹(1),生田 領野(2),山岡
耕春(1),辻 修平(3) 1:名古屋大学,2:静岡大学,3:海洋研究開発機構 |
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12月6日(金) 第2会場(大会議室,4F) | ||||
セッション | [土木4][地震3][防災3] | |||
座長 | 鈴木 晴彦(応用地質) | |||
12月6日 | 9:30〜9:50
2層水平成層を想定したモデルにおいて,レイリー波の位相速度推定に及ぼす反射波と屈折波の影響を考察した.はじめに幾何減衰,非弾性減衰,反射係数を考慮し,レイリー波と反射波の理論的な振幅減衰を検討した.レイリー波は反射波と比較し,周波数が高いほど非弾性減衰が大きくなり,レイリー波に対する反射波の影響が大きくなることを確認した。次に,2次元地下構造モデルにおいてP-SV波動場の数値実験を行い,計算波形および,計算波形から得られた位相速度に対する反射波や屈折波の影響を検討した.計算波形およびその周波数-波数スペクトルには反射波や屈折波のスペクトルが含まれ,特に速度境界が地表に近く,速度コントラストが大きい場合は,レイリー波位相速度の過大評価につながる可能性がある.
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48) 水平成層地盤におけるレイリー波の位相速度推定に及ぼす反射波および屈折波の影響 | ||
○宮永 隼太郎(1),山中 浩明・津野
靖士(2) 1:大成建設,2:東工大 |
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12月6日 | 9:50〜10:10
崩壊斜面における物性変動のモニタリングを目的として、斜面崩壊近傍に埋設した光ファイバーケーブルが埋設されている。本稿では、光ファイバーケーブルを利用した DAS(Distributed Acoustic Sensing)計測を用いて、CMP-CC法に基づく表面波探査を実施し、S波速度構造の推定を行った(アクティブ探査)。さらに、起振記録と雑微動を含む連続観測データに対して、CMP解析を施し、各CMPにおけるクロススペクトルギャザーを用いて周波数-位相パネルを算出した(準パッシブ探査)。アクティブ探査と準パッシブ探査により得られた分散曲線は概ね一致しており、DASを用いたパッシブ探査が斜面の物性値モニタリングにおいて有用であることが示唆された。
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49) 地盤内に埋設した光ファイバーを用いたDAS計測によるS波速度構造の推定 | ||
○山内 泰知(1),杉本 芳博(2),高岡
宏之(1),瀬尾 昭治・今井 道男・吉村 雄一(3),西垣 誠(4),西村 輝(5) 1:大日本ダイヤコンサルタント,2:ジオトモ・ラボ,3:鹿島建設,4:統合物性モデル技術研究組合,5:岡山県土質試験センター |
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12月6日 | 10:10〜10:30
ペルー・リマ首都圏での長周期帯域の地盤増幅特性を明らかにするための基礎的データを取得するために,長周期地震動の観測を実施した。観測では,短期間で長周期成分を有した地震記録を取得するために,規模の大きい遠地の地震による記録も取得できるように,感度の高い強震計を用いることにした。日本において観測機器のテストを実施した後に,リマ首都圏の南部地域の7地点に強震計を設置し,2022年8月より観測を開始した。約1年の観測によって30程度の地震による長周期地震動の記録を取得した。これらの記録の分析より,リマ首都圏の海岸沿いの地域では,深部地盤による0.3-1Hzの長周期成分で増幅が認められた。一方,内陸地域では,1Hz以下の短周期帯域の増幅効果が大きいことがわかった。
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50) ペルー・リマ首都圏の深部地盤構造のモデル化のための長周期地震動観測 | ||
○山中 浩明(1),三宅 弘恵・宮川 幸治・安藤
美和子(2),近藤 久雄(3),ヘルソン・カラスコ・カルロス・ゴンザレス・ツェノン・アギュラー(4) 1:東工大,2:東大地震研,3:産総研,4:日本ペルー地震防災センター |
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12月6日 | 10:30〜10:50
トルコ共和国ブルサでは,1855年にM7.1の地震が発生し,モスクなどの歴史的な建造物に多数の被害が生じた.この大地震による強震動を再現するためには,地震基盤に至る深部地盤のS波速度構造の影響を考慮することが重要である.そこで,著者らは,中小地震の観測記録を用いてブルサの主要都市部を対象に深部地盤構造モデルを評価する検討を進めている.本報では,地震観測記録を用いた波形逆解析に基づき,S波速度500〜2200 m/sの深部地盤の二次元S波速度構造を推定した結果を報告する.ブルサの主要都市部で観測した中小地震の地震動データを確認すると,周波数約1 Hzのラブ波を観測していた.このラブ波の再現性に基づいて二次元S波速度構造を推定したところ,盆地端部から離れるにつれて堆積層が厚くなる二次元モデルが評価された.ブルサ主要都市部の強震動評価に際しては,この堆積層構造の傾斜を考慮することが重要である
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51) 地震観測記録を用いた波形逆解析によるトルコ・ブルサ地域の深部2次元S波速度構造の推定 | ||
○笠松 健太郎(1),山中 浩明(2),三宅
弘恵(3),守田 正志(4),佐藤 大樹(2) 1:鹿島建設技研,2:東工大,3:東大地震研,4:横浜国大 |
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12月6日 | 10:50〜11:10
北見市内のテストフィールドにおいて,表層地盤の水位変化が地震波速度に与える影響を調査した.本研究では,開削したトレンチに均質な砂を充填し,そこに注水実験を行い,地下水位の上昇に伴う,表面波探査,微動アレイ探査から推定されるレイリー波の位相速度の変化を調査した.位相速度は,注水前の約90m/sから約50m/sへと低下することを確認した.本成果は,地震動特性の季節変動の定量評価に向けた基礎データとなる.今後は、地震観測データや電気探査結果と併せ,地盤振動特性の変動をさらに詳細に検討し,高精度な評価を目指す.
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52) 水の供給実験を通じた表面波探査による位相速度の変動評価 | ||
○高井 伸雄(1),重藤 迪子(2),中川
尚郁(1),津野 靖士(3),野本 真吾・岸川 鉄啓(4),堀田 淳(5),川尻 峻三(6),川口貴之(7),山中 浩明(3) 1:北大,2:九大,3:東工大,4:ジオテック,5:佳総合設計室,6:九工大,7:北見工大 |
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12月6日 | 11:10〜11:30
"表層地盤の水位変動による物性変化を把握するために、トレンチを作成し人工的に水位を上昇させる供給実験を通じた各種物理探査を実施した.本発表はこの内,水位変動に伴う電気探査と地中レーダ探査の変動結果について報告する.供給実験中に電気探査は15分間隔で繰返し測定し,地中レーダ探査は走査せず固定の位置で時間連続的に測定した.電気探査では水位上昇により, 見掛比抵抗の低下を深部から浅部に向かい確認した.比抵抗構造は,水と対応すると考えられる低比抵抗層が再現できた.地中レーダ探査では水位上昇により,地下水位以下の遮水シートからの反射は遅くなることが確認され,水と対応すると考えられる反射は検出時間が早くなることが確認された.どちらの探査結果も上昇する水位そのものではなく,その直上の土中の水分率が変化している遷移領域に対応することが示唆される"
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53) 水の供給実験を通じた電気探査及び地中レーダ探査結果の変動評価 | ||
○野本 真吾・岸川 鉄啓(1),堀田 淳(2),山中
浩明(3),川尻 峻三(4),津野 靖士(3),高井 伸雄・中川 尚郁(5),重藤 迪子(6),川口貴之(7) 1:ジオテック,2:佳総合設計室,3:東工大,4:九工大,5:北大,6:九大,7:北見工大 |
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