| 第150回(2024年春季)学術講演会 詳細プログラム | ||||||
| 6月4日(火) 第1会場(第1会議室,3F) | ||||||
| セッション | [微動・表面波探査・振動測定1] | |||||
| 座長 | 津野 靖士(東京工業大学) | |||||
| 6月4日 | 10:00〜10:20
2022年に名古屋大学東山キャンパスにおいて微動探査を実施した。キャンパスの中心部にある豊田講堂前広場(約60×60m)において格子状アレイ単成分微動探査を実施した。格子点間隔は10 mと5 mの2種類とした。各15〜20分の観測で得られた微動記録に対しCMP-SPAC法を適用し位相速度分散曲線を求めた。アレイの直下には名古屋市営地下鉄名城線が通っているが、分散曲線に地下鉄構造物の影響が見られた。S波速度構造には高速度異常が表れ、地下鉄構造物の詳細は不明であるが対応が見られた。また、キャンパス全域の合28点において単点3成分微動観測を行った。各観測点のH/Vスペクトルの大局的な形状は共通しており、この地域の地盤構造モデルから推定されるH/Vとよい対応が見られた。1 Hzより高周波数部分にある2次的なスペクトルのピーク周波数にはキャンパス建設以前の地形や浅部地盤との関係が見られた。
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1) 名古屋大学東山キャンパスにおける微動探査 | ||||
| ○渡辺 俊樹(1),佐藤 渓一(2) 1:名古屋大学,2:海上保安庁 |
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| 6月4日 | 10:20〜10:40
本研究では,各種方位から微動が到来すると予想される盛岡市の市街地に位置する岩手県営運動公園の東西測線(L-EW)と南北測線(L-NS)でセンサー間隔5mのリニアアレイ微動観測を連続的に実施し,地下構造の空間変化の把握を試みた.推定したS波速度構造は,L-EW測線の東端の第1層は125m/sで,西端の第1層は80m/sであり,東から西にかけて速度が遅くなっていることが分かる.一方L-NS測線では,北端も南端もどちらも第1層のs波速度は70m/sであり,南北では地下構造の変化があまり見られなかった.また,リニアアレイによって得られたS波速度構造と,チェーンアレイによって得られた疑似S波速度構造と比較してみたところ,ほぼ同様の結果であった.このことから,市街地でのリニアアレイ探査有効性が示唆される.
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2) 高密度リニアアレイ微動観測による岩手県営運動公園における2次元S波速度構造の推定の試み | ||||
| ○山本 英和・石塚 理央・齊藤 剛(1) 1:岩手大学 |
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| 6月4日 | 10:40〜11:00
微動アレイ探査は,平野部等の軟弱地盤では浅部の速度構造推定への適用例が多い一方,山岳部等の硬質地盤ではSN比が低いことから適用が困難とされてきた.微動アレイ探査で多く用いられているSPAC法の一種であるゼロクロス法を用いることで,硬質地盤でも微動アレイ探査が適用できる可能性が示唆されている.本研究では,硬質地盤である山岳地域に位置するトンネルでの微動アレイ探査の適用性を検討することを目的として,和歌山県串本町で建設中の山岳トンネル内で微動アレイ探査を実施した.ゼロクロス法を用いて算出された分散曲線は地層の違いを反映したが,各観測点の弾性波速度の大きさとの整合性は良くなかった.
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3) 和歌山県串本町の建設中の山岳トンネルにおける微動アレイ探査 | ||||
| ○太田 光・佐藤 優剛・東 宏幸・河田 皓介・小田 義也(1) 1:都立大 |
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| 6月4日 | 11:00〜11:20
本研究では,四万十川上流における1〜2 Hz帯の微動振幅と河川流量との関係について検討した.その結果,1〜2 Hz帯の微動振幅と河川流量の間には強い相関があることが6つの気象イベントからわかった.1〜2 Hz帯の微動振幅と河川流量との回帰曲線は単純な一次曲線を用いて確立され,それを用いて他の気象イベントで河川流量の予測を検証したところ,最も大きいピーク流量の誤差は6%であった.このことから,河川流量のピークの傾向や時期を適切に予測できる可能性がある.一方,比較的小さなピーク流量の発生時刻における観測流量の増減の傾向を高い精度で予測できなかった.そのため,予測精度の向上のためには関係式をさらに検討する必要がある.
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4) 四万十川上流部における河川流量と微動振幅との関係に関する検討 | ||||
| ○市原 大輝・地元 孝輔(1) 1:香川大 |
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| 6月4日 | 11:20〜11:40
単点微動H/Vスペクトル比測定に加え極小微動アレイ探査およびリニアアレイ微動探査を組み合わせて適用し,浅部に伏在すると推定されていた基盤岩分布をマッピングした結果を報告する.測定地域は茨城県の筑波山域の北西山麓から協和台地に至る延長約6 km,幅約2.5 kmの範囲である.筑波山北西山麓には基盤岩類が分布するが,協和台地はほぼ全域が新規堆積物で覆われる.ただし域内に小規模な基盤岩孤立岩体がある.この岩体の帰属を明らかにすることを目的として単点微動探査を約230点で実施した.測定データに対し,林ほかが提案するニューラルネットワークを用いた機械学習手法を採用してS波速度構造モデルを構築した.解析の結果,筑波山北西斜面に露頭する基盤岩体が桜川を越えて北西方向にも伏在しており,宮山周辺では浅所に潜頭しその一部が地表に現れている3次元的な浅部速度構造モデルを構築することができた.
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5) 微動探査による伏在基盤構造のマッピング:筑波山北西方協和台地での適用例 | ||||
| 〇稲崎 富士(1),林 宏一(2) 1:無所属,2:京都大学 |
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| セッション | [微動・表面波探査・振動測定2] | |||||
| 座長 | 山本 英和(岩手大学) | |||||
| 6月4日 | 13:00〜13:20
JR東日本研究開発センターの実験軌道において,微動アレイ探査および表面波探査の測定実験を行い,軌道上からの線路下の地盤調査方法としての適用性について検証を行った.実験は軌道下の地盤条件の異なる2箇所で行い,1箇所目はコンクリート床板上にバラストがある構造であった.両手法とも深部に関しては適用性があると判断されたが,浅部については構造物の影響が強く表れており課題が残る結果であった.2箇所目は自然地盤上にバラストがある構造で,両手法共に良好なデータが取得され,地盤調査手法としての適用性が高いことが確認された.今後も実軌道での実験を行い,課題の確認と適用性の検討を進める予定である.
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6) 軌道上での微動アレイ探査と表面波探査の適用性検討 | ||||
| ○岩本 鋼司(1),加藤 精亮・金城 雄也(2),小西 千里・山内 政也(1) 1:応用地質,2:JR東日本 |
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| 6月4日 | 13:20〜13:40
SPAC法・微動アレイ探査は、微動の到来方向に依存せず求めることができるが、非等方アレイと直線アレイ(以下、非SPAC法)は、微動が多方向から均等に到来すると前提としている。今回、荒川河川敷の2地点で、円周3点、5点、7点のSPAC法の計測を行った。円周3点、5点、7点の平均SPAC係数は、ほぼ同じに曲線になった。これは、SPAC法が、妥当なことを示している。中心と円周個々のSPAC係数は、円周3点、5点、7点、すべて同じ曲線は無かった。非SPAC法・直線アレイは、SPAC曲線が得られないことになる。非SPAC法の探査深度は、地震計展開と同じであり、小さい。原因は、SPAC係数が的確に抽出されていないことによる。非SPAC法は、理論と実験で、検証しなければならない。
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7) 空間自己相関(SPAC法)の観測点数と探査深度に関する考察 | ||||
| ○林 久夫(1),高木 俊男(2),原口 強(3) 1:ジオックスコンサルタント(株),2:復建調査設計株式会社,3:株式会社STORY |
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| 6月4日 | 13:40〜14:00
複数の地点の微動記録にテイラー展開を適用して水平面内の回転成分を推定し、これを用いてラブ波の位相速度を検出した。検出された位相速度は、近傍のPS検層データに基づく理論位相速度と一致した。Taylor展開の次数が高いほど、高い周波数までLove波の位相速度を検出することができた。ただし、Love波の位相速度が検出された周波数帯域は、Rayleigh波の位相速度が検出された周波数帯域よりも狭い。
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8) 微動計測記録に基づく回転動及びラブ波位相速度の推定 | ||||
| ○相馬 佑太・高橋 広人(1),鈴木 晴彦(2) 1:名城大学,2:応用地質 |
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| 6月4日 | 14:00〜14:20
2023年5月5日14時42分に能登半島北東部でM6.5の地震が発生し、K-NET正院では震度6強を記録した。大堀ほか(2023)では、珠洲市内の4地点で観測された記録と高周波数帯域を対象とした振動台実験の結果について報告した。本報告では、低周波数帯域の精度確認を目的とした名古屋大学所有の振動台による実験結果について報告する。震動強度に応じた周期補正係数が必要であることが確認され、振幅を補正する方法について提案した。2023年の地震と2024年1月1日16時10分に発生した2024年能登半島地震の観測記録について提案する補正式を適用し、K-NET正院の計測震度との比較を行った。その他の余震記録なども含めK-NET正院の計測震度との差は平均0.06程度となり、適切に振幅の補正を行うことができた。珠洲市の他観測点における記録についても振幅補正を行い、珠洲市内の震度分布の推定を行った。
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9) 2024年1月1日(M7.6)および2023年5月5日(M6.5)能登地方の地震における珠洲市内臨時観測点の地震動記録について | ||||
| ○鈴木 晴彦(1),大堀 道広(2),飛田 潤(3) 1:応用地質(株),2:滋賀県立大,3:名古屋大 |
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| 6月4日 | 14:20〜14:40
2023年トルコ南東部地震の被災地域の強震観測点において山中ほか(2023)でまとめられている地盤増幅特性の逆解析から,浅部地盤と深部地盤を統合した1次元S波速度構造モデルを推定した.ハタイ県のアンタキヤ地域やカフラマンマラシュ県中心部の強震観測点では,高周波数帯域の主要なピークは浅部地盤の影響が支配的であるが,2Hz以下の低周波数帯域では,深部地盤の影響が大きい.一方,イスケンデルン地域の強震観測点では,周波数1Hzまでの増幅特性は,浅部地盤の影響によるところが大きい.2023年トルコ南東部地震の被災地域では,浅部地盤と深部地盤が地域ごとに異なる寄与を地震動に及ぼしている.トルコの強震観測点では浅部地盤の情報は良く整備されているが,深部地盤についてはほとんどわかっていない.2023年トルコ南東部地震の強震動の詳細な理解には,被災地域での深部地盤のモデル化が不可欠であると考えらえる.
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10) 2023年トルコ南東部地震の被災地域での浅部深部統合1次元地盤構造モデルの推定 | ||||
| ○山中 浩明(1),オズギュール・オズメン(2) 1:東工大,2:トルコ共和国災害緊急事態対策庁 |
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| 6月4日 | 14:40〜15:00
In this study, we examined the simulated ground motions of the aftershocks following the February 6, 2023. Kahramanmaras earthquakes using the finite difference method. Intermediate-sized events with magnitudes of Mw4.5, Mw4.6, and Mw4.9 were examined, and long-period (2-20 s) ground motion simulations were conducted in the Kahramanmaras region. The deep structure model of the southern part of Turkey was developed as a three-dimensional (3D) layered model, taking into account source regions and observation stations. The structural model was prepared by referencing previous research on the crust model of Anatolia and shallow shear wave velocity models of the Kahramanmaras basin. The synthetic waveforms calculated were compared with the recorded accelerograms provided by the Turkish Disaster and Emergency Management Presidency (AFAD) for each event. The conducted simulations of aftershocks provide valuable insights into how source parameters, source path and characteristics of the underground structure impact seismic behavior. Considering these factors, it becomes imperative to rigorously validate 3D models and wave propagation for further investigation of finite fault models. Consequently, the results derived from intermediate-level earthquakes not only contribute to predicting long-period ground motions but also enable the confident investigation of large events, incorporating intricate source characteristics, through validated structural models.
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11) Simulation of Seismic Ground Motion for Aftershocks of the February 6, 2023 Kahramanmaras Earthquakes | ||||
| ○Bilal Ozaslan・Hiroaki Yamanaka(1),Nobuyuki Yamada(2) 1:Tokyo Tech,2:Kochi Uni |
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| 6月4日(火) 第2会場(第2会議室,3F) | ||||||
| セッション | [電磁探査] | |||||
| 座長 | 木佐貫 寛(応用地質株式会社) | |||||
| 6月4日 | 10:00〜10:20
元来、金属資源探査用の1000m級の探査深度を目指して開発された超電導量子磁気センサ(SQUID)を用いた過渡応答電磁探査法(TEM)であるが、そのピコテスラレベルの磁場を直接計測できる高感度性、耐環境ノイズ性、比抵抗変化に対する分解能の高さは、カーボンニュートラルへの貢献が期待できると考えている。そこで、地熱探査や二酸化炭素地下貯留モニタリングへの適用のため、地下3000m超級の探査が可能となるよう開発を進めてきた。センサおよび探査装置の開発、その特徴とSQUID-TEM法では世界初となる3次元逆解析によるインドネシアでの地熱探査適用事例について報告する。
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25) 超電導量子磁気センサを活用したTEM法による物理探査技術の開発 | ||||
| ○波頭 経裕・塚本 晃・田邊 圭一(1),マイケル ジダノフ(2) 1:超電導センサテクノロジー(株),2:テクノイメージング |
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| 6月4日 | 10:20〜10:40
本研究は、CO2 を利用した次世代型地熱発電(CO2-EGS)に対する電磁探査法の適用可能性や応答特性の評価を目的とする。まず、既存研究よりCO2圧入に伴う地下構造、特に比抵抗物性の変化やCO2-EGSで想定される貯留層パラメータを整理した。CO2を圧入するため、貯留層が高抵抗となる可能性が高いとされ、電磁探査での地下構造変化の検出・解析は、貯留層パラメータや電磁探査の仕様などに依存すると考えられる。そこで、CO2圧入による地下の変化を電磁探査で可視化するため、水平多層構造における接地電線送信と垂直磁場過渡応答受信を例に数値計算を行った。その結果、浅く厚い貯留層や貯留層が低比抵抗な場合に電磁応答の変化が大きいこと、また、送受信器間隔が短いと地下構造変化の検出に有利であることを定量的に示した。今後は、実際の貯留層に近い3次元構造に対する計算・可視化手法の確立が必要であると考える。
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26) 接地電線信号源を用いた時間領域電磁探査法の二酸化炭素を利用した次世代地熱発電開発に対する適用可能性 | ||||
| ○中島 緋里・上田 匠(1) 1:早大・理工 |
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| 6月4日 | 10:40〜11:00
既存の電磁探査手法の中で、地下深部の探査ではMT法の利用が広く普及しているが、自然信号の不安定さや人工ノイズ耐性などの懸念から、人工信号源、特に接地電線信号源を用いた手法も併用していくことが重要である。接地電線信号源は送信器長、送受信器間距などで探査深度を制御するが、接地電線による電磁場、特に設置端と電線部の寄与、電線形状の影響は依然研究途上である。そこで本研究では、接地電線送信器の両端部と電線の影響分離と、屈曲など電線の形状に注目し1次元順解析による応答特性を検討した。数値計算により、送信器の接地端部と電線部がそれぞれ磁場応答に及ぼす影響や電線形状が磁場応答に与える影響を定量的に示した。これらは現場測定における接地電線の展開や解析に電線形状の考慮などの重要な情報となり得る。今後、電線形状の影響評価に関するより詳細な検討と実データ解析への適用を進めていく。
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27) 大深度時間領域電磁探査における送信接地電線の形状による応答影響と特性の評価 | ||||
| ○山本 舜・西野 玉城・上田 匠(1) 1:早大 |
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| 6月4日 | 11:00〜11:20
TDEM法は地下数mから数kmを対象とした電磁探査法であり,ループ電線や接地電線を信号源とし、磁場の時間微分を測定する誘導コイルや、近年では磁場そのものを高感度に測定するSQUID磁力計も受信器として利用され,より大深度の探査が期待されている。SQUID磁力計はx, y, zの3成分の磁場応答を測定可能であるが,特にx, y(水平)成分の解析は見掛比抵抗変換、逆解析ともに未だ研究途上である。そこで本研究では、送信器に接地電線,受信器にSQUID磁力計を想定し、まず、磁場の水平成分応答を見掛比抵抗に変換する方法を検討し、計算コードを実装して変換精度や速度を詳しく検証した。さらに正則化共役勾配法(RCG法)による逆解析を水平磁場応答及び、それを変換した見掛比抵抗に適用し精度検証を行い、接地電線TDEM法における水平磁場応答の評価・解析手法を開発した。
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28) 時間領域電磁探査法における磁場水平成分応答の見掛比抵抗変換およびRCG法による逆解析 | ||||
| ○幸 眞太郎・中村 元紀・上田 匠(1) 1:早大 |
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| 6月4日 | 11:20〜11:40
本研究では独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるHeliTEMシステムを用いた地熱資源探査のための時間領域空中電磁探査データの深層学習による逆解析を行った。深層学習による電磁探査の逆解析は初期モデルが不要であり、大量の観測データを高速に解析可能な点で有利である。具体的には八幡平地域と九重地域のデータに対し深層学習による逆解析を行い、JOGMECによる目的関数の微分を用いる最適化手法の結果との比較を行った。結果については残差(RMSPE)と比抵抗構造の垂直断面・水平スライスで評価を行った。八幡平・九重の両地域において、地表から可探深度(DoI)において、深層学習とJOGMECによる逆解析結果は調和的な比抵抗構造を示した。深層学習では解析時間が大幅に短縮されるため、空中電磁探査のような広域・大規模データの逆解析への有効活用が期待できる。
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29) 深層学習による地熱地域における時間領域空中電磁探査データの水平多層構造逆解析 | ||||
| ○中西 賢吾・西野 玉城・上田 匠(1) 1:早大 |
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| セッション | [DAS(分布型音響センシング)][VSP・ボアホールサイスミック] | |||||
| 座長 | 地元 孝輔(香川大学) | |||||
| 6月4日 | 13:00〜13:20
2023年10月九州の九重町の八丁原・大岳地熱フィールドにおいて,H-26 地熱抗井に挿入した光ファイバーを用いたDAS地震探査を行った.12か所の震源による起震データを抗井内のDASおよび地表地震計26台によって記録された地震波形からP波初動走時を満足するP波速度構造および理論DAS波形,理論地表地震波形を計算した.DASの記録にある反射波のマイグレーションを実施した結果,地表から2-2.5 kmに反射面が集まり,それを既存地熱・地質モデルと重ねると,基盤岩とした部分と調和的であった.期間中に観測された40個の微小地震の震源を推定した結果,深さ2.2-4 kmに分布した.これらの地震活動は地熱発電の深度より深くに発生しており,この付近の平常の地震活動を示していると考えられる.
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30) 九州八丁原・大岳地熱フィールド周辺での地震探査 | ||||
| ○笠原 順三(1),羽佐田 葉子(2),三ケ田 均(3),大沼 寛(1),藤瀬 義博(4) 1:エンジニアリング協会,2:大和探査技術(株),3:京都大学,4:WELMA |
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| 6月4日 | 13:20〜13:40
地熱地域における坑井近傍の断裂系を検出する新たな手法の確立を目指して実施されたDAS-VSPの回折源イメージングに係る実証試験を通して、能動型震源の有効性や複数坑井利用の効果が確認された。特にバイブレータ震源はスウィープ作業中のAE観測が可能であり、能動型・受動型併用によるイメージング範囲の拡大や、断裂系イメージの向上に役立つことが示された。
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31) 複数坑井を利用した能動・受動型のDAS-VSP断裂系探査法 | ||||
| ○藤澤 萌人・青木 直史(1),金築 拓郎(2) 1:地科研,2:JOGMEC |
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| 6月4日 | 13:40〜14:00
MH21-Sは、海底面に敷設した光ファイバーを用いたDAS(Distributed Acoustic Sensing)とエアガンを用いた物理探査モニタリングの適用可否を検討している。DASはケーブルを坑井内に設置してデータを取得するVSP(Vertical Seismic Profile)探査への適用実績は増えている一方、ケーブルを地表面に設置しての反射法地震探査事例はまだ少ない。また、後方散乱波を強く発生する光フファイバーケーブルや、ケーブル内でらせん状に光ファイバーを配置するHWC(Helical Wounded Cable)の開発が進んでおり、センサーとしての感度が大きく向上してきている状況である。本発表では、カナダAquistore CCSサイトにおいて実施しているDASの性能評価と、3成分地震動の取得検討状況について報告する。
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32) カナダAquistore CCSサイトにおけるDASの性能評価に係るデータ取得について | ||||
| ○小林 稔明・下田 直之・田中 宏明・清水 英彦(1),Zeinab Movahedzadeh(2),Don White(3),Michael Mondanos・Anna
Stork(4) 1:JOGMEC,2:PTRC,3:GSC,4:Silixa |
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| 6月4日 | 14:00〜14:20
CCSでは圧入したCO2挙動の効率的なモニタリングとしてDAS-VSPが広く適用されている。本研究では更なる効率化を目的に発振と受振側における2種類の同時データ取得実験を実施した。発振側では、バイブレータを用いてスウィープ毎に位相を変えて発振するSource Phase Encoding法による同時発振実験を行った。地表と異なり静穏な環境において取得されたDAS記録では、信号に加えてコモンノイズも高い精度で分離されており、本手法の有効性が確認された。受振側では、複数の坑井にDASを同時に設置したMulti-well DAS-VSPデータの取得実験を実施した。DASは波動場の入射角に依存して振幅が変化するため厳密な振幅情報の扱いが困難であるものの、イメージング範囲の効果的な拡張が確認された。構造イメージングを目的とした場合や、CO2挙動の広域のモニタリングを目的とした場合の有効性が示唆された。
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33) CCSモニタリング効率化に向けたDAS-VSP同時データ取得実験 | ||||
| ○新部 貴夫・三浦 卓也・菅原 宗(1),加藤 政史・今井 優希(2),永田 丈也(3) 1:石油資源開発,2:地科研,3:物理計測コンサルタント |
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| 6月4日 | 14:20〜14:40
弾性波探査は地下の速度分布を推定する手法であり,油ガス探鉱や土木・地盤調査だけでなく,近年では地熱調査やCCSモニタリング等に用いられている.特にFull Waveform Inversion (FWI) は,全波形記録を解析に用いるため,高い解像度を持つことが期待されている.通常FWIは,観測波形と計算波形の残差の二乗和(コスト関数)を最小化する問題として定義され,コスト関数の速度モデルに対する偏微分(勾配)を計算してモデルを更新する.一方で,発振点毎あるいはショット毎にコスト関数を求め,それらを最小化する問題として捉え直することも可能である.本研究では,このモデル更新手法に関して随伴方程式とNewton法を用いて定式化し,プログラミング言語Juliaで実装した.また,スカラーとしてのコスト関数を用いる場合とベクトルとしてのコスト関数を用いる場合で,FWI結果の解像度や収束速度へ与える影響を数値解析により検討した.
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34) ベクトルコスト関数の最小化を目的とした時間領域FWIプログラムのJuliaによる実装及びノイズ影響評価 | ||||
| ○上村 建人(1),湊 翔平・横田 俊之(2),上田 匠(1) 1:早大,2:産総研 |
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| 6月4日 | 14:40〜15:00
DASを用いた地盤振動の計測性能を評価するため,茨城県つくば市内における試験フィールドに光ファイバケーブルを埋設し,自動車や歩行者の通行振動を含む微動記録を計測した.自動車振動は,光ファイバ から離隔約7.5mでおおむね平行したテストコース上を,普通乗用車1台で毎分2回程度走行することで発生させた.歩行振動は,ケーブルの50mほどの区間において,光ファイバから離隔1m以内を複数人で歩行して発生させた.計測したDAS記録に対して,CMP-SPAC法でリニア微動アレイ解析を実施し,周波数−位相速度イメージを求めた.常時微動記録のみを用いた場合と比べ,歩行振動または自動車振動を含む微動記録から得られた周波数−位相速度イメージの方が,高周波数までの位相速度を抽出することができた.この結果は,DASによる微動計測でも自動車振動や歩行振動を含むことで浅部のS波速度構造推定に資することを示している.
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35) 光ファイバDASによる歩行・自動車振動を併用したリニア微動アレイ探査 | ||||
| ○小川 直人・鈴木 晴彦・櫻井 健・小西 千里(1),藤原 広行・中村 洋光・内藤 昌平(2) 1:応用地質,2:防災科研 |
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| 6月4日(火) コアタイム:第1会場(第1会議室,3F),展示:展示会場 | ||||||
| セッション | [ポスター(コアタイム)] | |||||
| 座長 | 新部 貴夫(石油資源開発株式会社) | |||||
| 6月4日 | 15:20〜17:20
AMT法探査は、比較的高周波の電磁場変動を利用した浅層の地下構造を対象とした探査手法である。地熱地帯のAMT法データを解析する場合、その対象地域は山間部に位置することが多く、解析時に地形の影響を受けやすい。よって地熱地域の安定した解析のためには、地表面の形状が地下の比抵抗構造に及ぼす影響を考慮することが重要である。3次元インバージョンプログラムFEMTICは、四面体構造のメッシュを生成し、有限要素法を用いて地形の影響を考慮することができる。さらに並列計算を用いることにより、比較的高速な計算を可能としている。本研究では地熱地域で得られたAMT法データを使って比抵抗構造を解析し、過去に行なわれた2次元解析結果、地質図や検層データと比較することで、地形がインバージョン結果に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。地形の有無で比較した結果、地形を考慮することでより精度の高い比抵抗分布の推定が可能であることが確かめられた。
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P-1) 地形を考慮したAMT法データの3次元インバージョンの有効性評価 | ||||
| ○森 裕汰・田中 俊昭・水永 秀樹・橋本 幸治(1) 1:九大 |
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| 6月4日 | 15:20〜17:20
This study utilized remote sensing satellite imagery and aircraft geophysics to map the geology and mineral exploration potential of the Francistown region, located southwest of the Zimbabwe craton in Botswana. ASTER Level-1B daytime Thermal Infrared (TIR) and aeromagnetic data were employed. The region comprises various rock types, including felsic, mafic-ultramafic, and gneiss, with significant mineralization potential. Remote sensing techniques successfully delineated major rock formations and identified mineral-rich areas. The aeromagnetic data analysis aided in identifying structural features. The study employed the Center for Exploration Target (CET) grid analysis system and Porphyry Analysis technique to map potential mineralization sites aligned with known mineral deposits in the area. The combination of remote sensing and aeromagnetic methods proved effective and cost-efficient, demonstrating potential for application in other mineral-rich regions.
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P-2) Integrated use of ASTER TIR and aeromagnetic data to geological mapping and subsequent mineral exploration in Francistown region, Northeast Republic of Botswana | ||||
| ○Pabalelo
Sono(1),Ame Thato Selepeng(2),Hideki Mizunaka(1),Felicia Akinyemi(3) 1:Kyushu Univ.2:Botswana International Univ.3:Univ. of Bern, |
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| 6月4日 | 15:20〜17:20
この研究では、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いて、反射法地震探査データの速度解析の自動化を検討した。 3つの異なる速度構造のラベル配置がモデルの精度に与える影響を調べた。 自動速度解析のCNN モデルを構築するために、500個の合成CMPギャザーを生成し、処理した。DLモデルのアーキテクチャには、修正されたAlexNetを使用した。 その結果、ランダムな学習データを用いて、2 x 20 2Dのラベル配置で学習されたモデルが、視覚的、数値的な評価、および処理の結果で3つの中で最もよい結果を示した。 しかし、3つのモデルはいずれも汎用性に欠け、テストデータでは精度が低下した。 ネットワークモデルの精度を向上させるために、今後は学習データ量を増やし、連続的なラベルの使用を検討する。
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P-3) Automatizing Velocity Analysis of Seismic Reflection Data Using Convolution Neural Network | ||||
| ○李 成龍・渡辺 俊樹(1) 1:名大 |
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| 6月4日 | 15:20〜17:20
淡路島南西部に分布する湊-本庄断層の位置と変形構造を明らかにするため,兵庫県南あわじ市阿万地区においてP波・S波浅部反射法地震探査を実施した.深度断面において,S波反射法地震探査では標高約-80 m,P波反射地震探査では標高約-120 m付近まで反射波が認められた.S波・P波の調査ともに,ボーリング柱状図と対比可能な深度に反射面が認められた.P波の深度断面は測線の西に向かって基盤(和泉層群)上面が浅くなっている特徴が見られた.また,測線の東側では湊-本庄断層の変形構造を表していると考えられる構造が認められた.それに対してS波の深度断面は測線の中央に向かって基盤(和泉層群)上面が浅くなっている特徴が認められた.今後,処理を進め断面図を改善し,湊-本庄断層の変形構造を議論する予定である.
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P-4) 兵庫県南あわじ市阿万地区における地下浅部構造調査 | ||||
| ○木下 佐和子・伊藤 忍(1) 1:産総研 |
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| 6月4日 | 15:20〜17:20
2050年カーボンニュートラルの達成には再生可能エネルギーの利用が不可欠であり,国内外で風況のよい場所での多くの大型風力発電所が稼働している.風力発電機は高い支柱と大きな風車が常に強い風に晒されており微動が発生している.風車は年中昼夜稼働してこと,海岸部では複数基設置されることが多い,海岸に寄せてくる波浪も顕著であるため,探査の微動源として期待できる.本報告では,初期的な微動源の検討として,海岸沿いの大型風力発電施設の近傍から21 kmまでの地点で微動計での観測を行った.風力発電施設の近傍での観測から,風力発電に起因する1.2-40 Hzの微動と,波浪に起因する0.2-1.5 Hzの微動を観測した.また,それらの微動を風車から1.5 kmの距離まで検出した.
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P-5) 海岸沿いの風力発電機を利用した微動観測の初期検討 | ||||
| ○真田 佳典・宮永 隼太郎(1) 1:大成建設 |
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| 6月4日 | 15:20〜17:20
lassoを代表とするL1ノルムを正則化項に用いるスパース推定法は,L2ノルムを正則化項に用いる制約付き最小二乗法に代わる最適化手法として注目されている.lassoにはさまざまな拡張が提案されており,そのなかのひとつである連結lassoを表面波見掛位相速度データの1次元逆解析に適用した.これは非線形一般化lasso問題であり,解法として交互方向乗数法(ADMM)を用いた.また,ハイパーパラメータの選択,すなわち最適モデルの選択には拡張ベイズ情報量規準(EBIC)を採用した.この方法をいくつかの数値例に適用し,その有効性が確認された.
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P-6) 連結lassoを用いた表面波見掛位相速度データの逆解析 | ||||
| ○河村 茂樹(1) 1:無所属 |
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| 6月4日 | 15:20〜17:20
奥会津地熱地域において人工涵養試験が実施されている。注水に伴い微小地震を引き起こすことが知られているため,本地域に地震計を9地点設置し微小地震をモニタリングすることで,人工涵養による地熱貯留層内の挙動の変化を間接的に追跡した。2015年5月〜2024年2月の期間に発生した微小地震の時系列変化について報告する。観測された微小地震波形のP,S波到達時刻を用いて震源決定を行い,涵養注水と微小地震の時空間的な分布傾向からその関係性を考察した。当地域における微小地震は合計32,829個観測され,涵養井周辺領域と猿倉沢断層周辺領域に集中していた。涵養井周辺領域では,注水流量の増減に応じて発生数も増減する傾向がみられた。一方で猿倉沢断層周辺領域では,注水の有無にかかわらず,時折群発的に微小地震が発生する傾向がみられた。したがって,AEが活発化する条件が,各AE集中領域で異なることが示唆された。
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P-7) 奥会津地熱地域における人工涵養試験中の微小地震発生の時系列変化 | ||||
| ○青 直樹・岡本 京祐・石橋 琢也・桑名 栄司・田中 勇希・山谷 祐介・浅沼 宏(1),岡部 高志(2),中川 哲夫(3),寺岡 拓也(4) 1:産総研,2:地熱技術開発,3:奥会津地熱,4:JOGMEC |
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| 6月5日(水) 第1会場(第1会議室,3F) | ||||||
| セッション | [微動・表面波探査・振動測定3][マイクロサイスミック] | |||||
| 座長 | 松島 潤(東京大学大学院・新領域) | |||||
| 6月5日 | 9:30〜9:50
本研究では,道路盛土ののり面をかけやで起振し,調査対象域を挟み込むS波トモグラフィの実施が可能であることを示した.その結果,盛土の耐震性評価に有用なS波速度分布が,幹線道路の交通規制なしに得られることがわかった.幹線道路下部域のS波速度は,ボーリングや貫入試験だけでなく,PS検層,表面波探査,微動アレイ等の他の物理探査でも取得が困難であり,貴重な探査手法と考えられる.橋台背面の高盛土のトモグラフィ探査は,送受振点間距離が長くても,交通振動の表面波ノイズに対して屈折波の振幅が大きく,適用性の高い探査対象であることがわかった.また,幹線道路では有線ケーブルを交通規制なしに横断することは困難な場合が多いが,トリガー信号の無線伝送により,信号線を配線せずにトモグラフィ探査を実施できることも示した.本研究により,調査ニーズに適合した探査手法の選択肢が増え,物理探査の利用機会が増大することを期待する.
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12) 高盛土の耐震性評価のための道路を横断するS波トモグラフィ探査 | ||||
| ○尾西 恭亮・大石 佑輔・鈴木 望夢・東 拓生・加藤 俊二(1) 1:土研 |
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| 6月5日 | 9:50〜10:10
近年,コンクリート構造物の表面のひび割れ深さを効率的に推定する方法として,表面波の減衰を用いた方法の適用が試みられ,推定式が提案されている.既往の研究では,ひび割れに対して表面波が垂直に入射する場合について検討されており,斜めに入射した場合の検討は数が少ない.斜めの場合でも表面波の減衰を用いてひび割れ深さを推定することができれば,点検の効率化を図ることができると考えられる.そこで,本研究では,表面波がひび割れに対して斜めに入射した場合でもひび割れ深さを推定することができるか検討することを目的として,模擬ひび割れを作成したコンクリートの供試体に表面波を起振する実験を実施した.検討の結果,斜めの場合の推定誤差は真値と比較して40%程度と比較的小さく,斜めに入射する場合でも,垂直のときと同様にひび割れ深さの推定が可能であることが示唆された.
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13) 室内実験による表面波を用いたコンクリートのひび割れ深さの推定 | ||||
| ○秋吉 菜保子・東 宏幸・大野 健太郎・小田 義也(1) 1:都立大 |
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| 6月5日 | 10:10〜10:30
関東平野の堆積層3次元P波速度構造モデルおよびS波速度構造モデルを推定するため,首都圏に展開されている首都圏強震動総合ネットワークSK-netで観測された関東平野周辺で発生した近地地震による強震記録を用いて,レシーバー関数と自己相関関数を推定した.大量のデータを効率的に処理するために,理論走時によりP波部分を抽出し,レシーバー関数と自己相関関数には明瞭なPs変換波やP波の反射波が得られた.レシーバー関数から求められるPs-P時間は関東平野の基盤深度とよく対応しており,関東平野の3次元地下構造を捉えることができた.千葉県八千代市の観測点において推定したレシーバー関数と自己相関関数のH-Vスタックから推定されるP波速度,S波速度,基盤深度は,いずれもJ-SHIS深部地盤構造モデルが妥当であることがわかった.
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14) 近地地震記録のレシーバー関数と自己相関関数による関東平野の地震波速度構造モデルの推定 | ||||
| ○地元 孝輔(1) 1:香川大 |
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| 6月5日 | 10:30〜10:50
微動アレイ探査を用いて2か月にわたってS波速度(Vs)構造を連続測定した。24個の地震計を一辺8mの正三角形アレイに配置、常時微動を連続測定、クラウド用いてデータをリアルタイム処理し、降雨に伴う位相速度とVsの変化をまとめた。調査地では2024年の1月から2月にかけて約225mmの降雨があった。周波数20~30 Hzおよび30~40 Hzの位相速度は、この期間にそれぞれ350 m/sから200 m/s、300から110 m/sへと低下した。1/21から2/10の分散曲線を逆解析し、深度10m程度までのVs構造を求めた。深度6mまでの範囲のVsは10〜40%低下、特に深度1~2 mの範囲で210 m/sから130 m/sへと約40%低下した。この期間、高い周波数が先に速度が低下し低い周波数が後から低下したが、この変化のタイミングの違いは降雨が地下に浸透していく過程を反映している可能性がある。
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15) 常時微動の連続測定により観測された降雨に伴うS波速度の変化 | ||||
| ○林 宏一(1) 1:京大防災研 |
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| 6月5日 | 10:50〜11:10
本研究では,微動アレイ探査で認められた高次モードを含むレイリー波の位相速度の逆分散結果について,1次元探査では明らかにできなかった構造を捉えられる可能性を検討するために,地震波干渉法の適用を目的にした探査を実施した.菱刈鉱山周辺における1.5ヵ月の地震・微動観測結果から,自己相関関数と相互相関関数を得たためその結果について報告する。
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16) 菱刈地域での地震・微動観測記録への地震波干渉法の適用 | ||||
| ○小野 雅弘・南 雄一郎・野上 俊介(1),山中 浩明(2),岡上 祥典(3) 1:住鉱資源開発,2:東京工業大学,3:住友金属鉱山 |
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| 6月5日 | 11:10〜11:30
奥会津地熱地域(福島県柳津町)では,JOGMECにより2015年度から,蒸気生産量安定化のために,地熱貯留層への涵養注水試験が行われている。これに伴い,微小地震モニタリングを用いた,地下の流動モニタリングを実施している。本研究では,連続的な注水が実施される前の2017-2018年の微小地震データ,および連続注水を開始した2022以降の微小地震データを用いて,地震波走時トモグラフィ,および減衰トモグラフィを実施した。その結果,注水井近傍において注水に伴って,地震波速度の増加,および減衰強度の低下が見られることが分かった。本報告では,注水前後での地震波速度,および減衰強度の変化を把握することで,注水に伴う貯留層の挙動を把握することが可能であることを示す。更に,微小地震分布やVp/Vsなどの他の情報と合わせることで,流体経路や間隙水の相状態など,より詳細な貯留層挙動を把握し得ることも示す。
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17) Double-difference法に基づいた地震波速度と減衰構造の推定:奥会津地熱地域での涵養注水試験への適用事例 | ||||
| ○岡本 京祐・青 直樹(1),椋平 祐輔・Dian Darisma(2),浅沼 宏(1) 1:産総研,2:東北大 |
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| セッション | 特別講演 | |||||
| 座長 | 松島 潤 副会長 (東京大学大学院・新領域) | |||||
| 6月5日 | 15:00〜16:00 | 『SIPスマート防災ネットワークの構築』の取組 | ||||
| 田口 康 氏(防災科学技術研究所 審議役兼戦略的イノベーション推進室長) | ||||||
| 6月5日 | 16:00〜17:00 | 物理探査学会のこれまでの歩みと将来への期待 | ||||
| 内田 利弘 氏(産業技術総合研究所客員研究員) | ||||||
| 6月5日(水) 第2会場(第2会議室,3F) | ||||||
| セッション | [統合物理探査][その他] | |||||
| 座長 | 岩本 鋼司(応用地質株式会社) | |||||
| 6月5日 | 9:30〜9:50
過去の地震被害において,局所的な被害が発生している事例があり,この原因を説明するためには超高密度な観測を行うことが重要である.しかし,世界的にも高密度な観測を行っている日本でさえ,地震動の局所変化を捉えるには観測点密度が不足している.本研究では,深層学習を用いて観測点がない場所での地震動を推定する仮想地震観測網の開発の初期段階として数値シミュレーション(GMS)でデータの作成を行い,P波走時予測と最大振幅予測を複数のリファレンス点配置で行った.深層学習モデルは,リファレンス点の座標,P波走時,最大振幅,予測したい点の座標を入力とし,予測したい点のP波走時,最大振幅を出力とする.その結果,P波走時の予測については一定の精度で予測を行うことができた.しかし,最大振幅の予測については,地震によって予測精度に差が見られた.また,リファレンス点配置による予測結果に大きな違いは見ることができなかった.
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36) 深層学習を用いた仮想地震観測網構築のための数値実験による基礎的検討 | ||||
| ○谷村 晃希・東 宏幸(1),渡辺 俊樹(2),白石 和也(3),小田 義也(1) 1:都立大,2:名古屋大学,3:JAMSTEC |
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| 6月5日 | 9:50〜10:10
丹後半島沖には隠岐トラフに突き出す尾根上にあるマウンド部分で表層型メタンハイドレート(MH)賦存が示唆されている。周辺にはマウンドを伴わない多数のポックマークがある。海底下の地質構造探査記録から、@ポックマーク直下と周辺の地層の連続性が良い、Aポックマーク直下の地層の厚さに変化がある、B複数のポックマーク下底がおよそ揃っているように見える、など特徴が見出された。これらはポックマークの従来の成因では説明できない可能性がある。表層型MH賦存域で発生しうるMHの消失を考えるモデルを作成し、ポックマーク直下に見られる層厚の変化を再現した。ポックマークは、塊状である表層型MHが消失することで発生する地層の変形によって形成されている可能性がある。
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37) ポックマーク下の構造から推定される塊状メタンハイドレートが海底下で消失した可能性 | ||||
| ○浅田 美穂・宮川 歩夢(1) 1:産総研 |
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| 6月5日 | 10:10〜10:30
近年ドローンを用いた磁気探査や電磁探査の適用例は増えているものの鉱床探査の例は少ない。国内唯一の操業中の金鉱山である菱刈鉱山での詳細調査に地上送信源型のドローン電磁探査(D-GREATEM)を適用したところ、鉱山施設や高圧線に加えてえびのVLF送信所からの電磁ノイズが混入し、データのS/N比の低下を招いた。そこで、ノイズ対策として、@コイルで取得した過渡応答を時間積分することでノイズを低減するとともに逆解析の探査深度を向上させ、A過渡応答の形状に加えて信号強度も未知数とすることで解析精度を向上させた。これらのノイズ対策により菱刈地域の過去の電気・電磁探査や電気検層での比抵抗分布と整合する結果が得られ、ノイズの大きい地域でもD-GREATEMが適用できることが分かった。また、浅熱水鉱床周辺に生じる変質帯の範囲把握に適用できることも確認できた。
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38) ノイズの大きい地域でのドローン電磁探査の適用例 | ||||
| ○野上 俊介・曾 國軒・中里 佳央(1),岡上 祥典(2),城森 明(3) 1:住鉱資源開発,2:住友金属鉱山,3:ネオサイエンス |
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| 6月5日 | 10:30〜10:50
地熱開発コストを低減するには,坑井掘削の成功率を上げることが必要である.これを達成するためには,貯留層の位置を従来よりも正確かつ効率的に推定しなければならない.ここでは,国内地熱地帯における文献をレビューして地下構造と地熱系の構造を比較した.その結果,火山噴出物が堆積した地質構造と熱水変質により形成された地熱系は異なる構造を示し,貯留層は断層に沿って分布することである.したがって,断層を探査するには重磁力探査や地震探査が有効である.また,地熱系の要素は比抵抗と相関が高い.したがって,概査から精査にかけてマルチフィジックス探査を適切に組み合わせることが重要である.また,貯留層とホストロックの比抵抗は数倍の差があることから,電磁探査による貯留層検知の可能性が示されており,電磁探査によるキャップロック下の貯留層を検知する方法の開発が今後の課題である.
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39) 地熱探査における物理探査技術の役割について | ||||
| ○伴 英明・田中 俊昭・水永 秀樹(1) 1:九州大学 |
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| 6月5日 | 10:50〜11:10
本研究では、検層データとMTレスポンスを基に地熱地域の温度、圧力、浸透率を推定する手法として、物理法則を考慮した機械学習の有効性を検証した。機械学習手法として深層ニューラルネットワークを使用し、学習した深層ニューラルネットワークの推定値が熱水系の質量保存則とエネルギー保存則を満たすようにした。検証には、葛根田地熱地域の熱水系モデルを使用した。検証の結果、物理法則と境界条件を考慮することによって、温度や圧力の推定精度が向上した。また、検層データに加えてMTレスポンスを観測値として用いることで、浸透率構造の推定精度がより向上した。
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40) 物理法則を考慮した機械学習による地熱構造の推定手法の開発と熱水系モデルを用いた検証 | ||||
| ○石塚 師也(1),石須 慶一(2),山谷 祐介・渡邉 教弘(3),鈴木 杏奈(4),大田 優介(5),宇津木 充(1),小林 洋介(6),茂木 透(7),浅沼 宏(3),他 1:京大,2:兵庫県立大,3:産総研,4:東北大,5:JAMSTEC,6:室工大,7:名大 |
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| 6月6日(木) 第1会場(第1会議室,3F) | ||||||
| セッション | [反射法地震探査] | |||||
| 座長 | 浅田 美穂(産業技術総合研究所) | |||||
| 6月6日 | 9:30〜9:50
AIや深層学習を震探断面に適用した事例では,CNNが主流であり,その精度向上が課題として挙げられています.最近では,自然言語処理の分野で高い精度を示したTransformerモデルが注目を集めている.このTransformerモデルは,画像認識や物体検出の分野においてもメインストリームとなっている.本研究では,階層型TransformerモデルであるSegFormerおよびその改良版であるU-Segformerを用いて物体検出を行った.物体検出の対象は,CO2圧入前後にみられる振幅異常とした.この研究では,Sleipnerの公開データを用いて,提案手法の有効性を検討した.本研究では,その手法と結果について報告する.
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18) Transformerを用いた反射法地震探査データに対する物体検出の適用検討(CO2圧入前後の変化について) | ||||
| ○坂口 弘訓・松島 潤(1) 1:東大・院・新領域 |
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| 6月6日 | 9:50〜10:10
近年,物理探査データへのAI適用は,活発に議論されている.坂口ほか(2022)1は,デモデータを対象として,BSR(Bottom Simulating Reflector)自動検出の適用可能性について議論した.その後,坂口ほか(2022)2は,実際の三次元反射法地震探査データにおけるBSR自動検出の適用について議論をおこなった.しかし,その結果はCNN(畳み込みニューラルネットワーク)モデルを使用して得られたものであり,実用化をさらに促進するためには,精度向上や計算コスト削減が必要であった.そのため,Transformerモデルに基づいたSegFormerを使用してオブジェクト検出(セマンティックセグメンテーション)の検討を行った.本研究では,その処理フロー,学習計算,予測結果,およびその精度について議論する.
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19) 三次元物理探査データに対する物体検出の適用 | ||||
| ○坂口 弘訓・高市 和義・児玉 総司・下野 祐典・鎌田 碧(1),石鍋 祥平・蛯谷 亮(2) 1:CTC,2:JOGMEC |
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| 6月6日 | 10:10〜10:30
最近の様々な地震減衰測定手法、例えば音波検層やVSPなどは、メタンハイドレート含有堆積物(MHBS)における広帯域周波数範囲でのS波減衰の測定を可能にする。南海トラフにおけるMHBSにおいて、VSPおよび音波検層から測定されたS波減衰値に対するメカニズムを明らかにするために、私たちは同じフィールドにおけるP波減衰の周波数依存性の理論的可能性を示すために、3種類の拡張Biotモデルを適用たが、S波減衰の大きさを過小評価する。観測されたと理論的なS波減衰値の間のギャップを埋めるために、接触線摩擦をS波減衰の寄与するメカニズムとして統合する岩石物理モデルを考案した。液状のハイドレート層と砂粒との接触線上の動摩擦を考慮することで、顕著なS波減衰を示した。これは、液状のハイドレート層と砂粒との接触線上の動摩擦がS波減衰の可能なメカニズムであることを示唆する。
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20) 南海トラフにおけるメタンハイドレートを含む堆積物におけるS波減衰の岩石物理学的考察: 接触線摩擦の減衰メカニズムとしての可能性 | ||||
| Zihan Niu(1),Linsen Zhan(2),○松島 潤(1) 1:東大・院・新領域,2:北京大 |
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| 6月6日 | 10:30〜10:50
本研究は、コウモリのエコロケーション信号と地震探査手法との類似点に踏み込み、情報理論の原則を通じて信号処理に独自の視点を提供する。コウモリの信号の適応的な特徴を調査することで、さまざまなエコロケーション段階でのコウモリの戦略を明らかにし、異なる環境を効率的に航行するために時間の長さや周波数スイープを変更する方法を解明する。これらの音響的適応は、その後、コウモリからの洞察に基づいた地震波信号の設計に応用する。包括的な分析は、コウモリがエコロケーションを効果的に行うための信号の安定性と適応性の微妙なバランスを示し、コウモリのエコロケーションメカニズムの理解を進展させる。さらに、特定の探査目的に基づいた地震波信号の選択を最適化するための実践的な洞察を提供する。この研究は、地震探査の技術的アプローチを向上させる生物模倣の可能性を示す。
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21) 情報エントロピーから見たバイブロサイス信号の再検討:コウモリのエコロケーションからの示唆 | ||||
| Wangjie Xu・○松島 潤(1) 1:東大・院・新領域 |
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| 6月6日 | 10:50〜11:10
地下資源の探鉱を目的に収録される三次元反射法地震探査データの垂直分解能は、データ取得の仕様やデータ処理のコストに加えて,目標とする地質構造解釈の複雑さから決定される.垂直分解能の向上は、高解像度と低解像度データから周波数帯域を最適化しつつアップサンプリングする手法が一般的であり、既往研究から深層学習モデルとシンセティックデータを利用した手法が提案されている。本研究では、同一海域で取得されたフィールドデータに対して、a)ダウンサンプリング処理を適用したのちにデータ処理を実施(低解像データ),b)限定されたエリアでダウンサンプリング処理を適用せずにデータ処理を実施(高解像データ)したデータ組を用いて垂直分解能の高解像度化を行った結果とそのワークフローを示す.さらに、高解像度化ワークフローを教師データと異なるエリアで取得・処理されたデータに適用した結果を示す.
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22) 海上地震探査データの高解像度化に向けた深層学習モデルの適用 | ||||
| ○蛯谷 亮・石鍋 祥平・小西 祐作・池 俊宏(1) 1:JOGMEC |
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| 6月6日 | 11:10〜11:30
海洋研究開発機構では,地震発生帯の地下地質構造と地震波速度分布を調べるため,広域的に稠密な地震探査を継続して行なっている.広域的にかつ稠密な測線配置による海上マルチチャンネル反射法探査を行い,新旧のデータを活用して,海洋地殻上面の形状,断層分布や変形構造などの詳細な地質構造を明らかにしている.一方,海底地震計を用いた広角反射法探査では,走時および波形のインバージョン解析により,地殻内の詳細な地震波速度構造の推定できるようになり,また,反射波を利用した構造イメージングの開発も進めてきた.さらに,広角反射法から推定された高精度な速度構造に基づき,海上反射法データの重合前深度マイグレーションを行う統合的な解析により,震探断面品質の改善された,両者に整合的で信頼性の高い解析結果が得られる.
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23) 海上マルチチャンネル反射法および海底地震計広角反射法による地殻構造の描像 | ||||
| ○白石 和也・新井 隆太・野 徹雄・中村 恭之・藤江 剛(1) 1:海洋研究開発機構 |
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| 6月6日 | 11:30〜11:50
我々は SUの長所を生かしながら,土木や地震防災調査業務,すなわち2次元の数測線程度までの規模による作業を想定したソフトウェアを開発している。本公演ではその特徴の一部を紹介する。
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24) SUを模した反射法データ処理システムの開発 | ||||
| ○岡田 信(1) 1:株式会社日本地下探査 |
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| 6月6日(木) 第2会場(第2会議室,3F) | ||||||
| セッション | [電気探査][地中レーダ] | |||||
| 座長 | 尾西 恭亮(土木研究所) | |||||
| 6月6日 | 9:30〜9:50
赤潮被害を避けるために「地下海水」を用いて陸上養殖を行う選択肢が考えられる.根室半島での陸上養殖を検討するため,電気探査を用いて,沿岸帯水層における海水侵入の有無の検討,または地下水の塩淡境界の位置を推定した.根室半島北岸の温根元地域に5測線,南岸の花咲地域に6測線,合計11測線を展開して電気探査装置SYSCAL Proによる,比抵抗2次元探査及び,比抵抗3次元探査を実施した.電極配置はダイポール・ダイポール法,ウェンナー・シュランベルジャー法,ウェンナー法を採用した.また,地形を考慮した解析を行うために,GNSS測量を行った.地下構造解析の結果,花咲港東部において,深度12 m以深で10 Ωm以下の低比抵抗領域が検出された.これは,地盤ボーリングデータとの比較より,砂層から根室層に侵入した海水に相当する可能性がある.特に,風化で孔隙が増大した根室層は,海水侵入の可能性が高いと推察できる.
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41) 電気探査を用いた根室半島沿岸帯水層への海水侵入の検討 | ||||
| ○橋 莉穂(1),丸山 純也・新谷 毅(2),工藤 良二・石井 裕也(3),坂中 伸也(1) 1:秋田大,2:道総研,3:根室市水産研究所 |
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| 6月6日 | 9:50〜10:10
比抵抗モニタリングによって地盤の比抵抗変化だけでなく,電極移動量を推定する解析手法をスパースモデリングの技術を用いて開発した.開発した手法で推定する電極移動量は測線方向に対して水平方向と垂直方向の2成分である.開発した手法の有効性を検証するために2次元の数値シミュレーションを実施した.その結果,開発した手法は比抵抗と電極移動量を同時に推定できることが分かった.また,電極移動量の推定誤差は電極間隔に対して最大3%程度であった.今後は解析手法の実データへの有効性について検討することが必要である.
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42) 比抵抗モニタリングによる比抵抗と電極移動量解析の数値的検討 | ||||
| ○木佐貫 寛(1) 1:応用地質(株) |
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| 6月6日 | 10:10〜10:30
電極打設が不要で測定効率に優れた高周波交流(VLF-AC)電気探査システムで測定したデータは、交流電流を利用するため高比抵抗地盤や電極間隔が大きい場合に表皮効果の影響を受ける。そのため測定データに従来の直流電気探査法の逆解析を適用すると、真の地下比抵抗構造とは異なる結果が得られる。本研究では、深層学習を用いて測定データから表皮効果を除去し、直流電気探査の逆解析手法が適用可能なデータを作成する技術の開発を進めた。具体的には深層学習のハイパーパラメータや,ニューラルネットワーク構造を変更し,表皮効果除去に最適な深層学習手法を検討した。結果として,ニューラルネットワークにCNNを導入することで表皮効果除去精度に大幅な改善が見られた。今後,人工的ノイズを付加したデータでの学習やネットワークの層数などを検証することで精度向上を図り、表皮効果除去後のデータへの直流電気探査逆解析の適用を進めていく。
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43) 高周波交流電気探査測定データにおける深層学習による表皮効果の影響除去 | ||||
| ○篠原 純弥(1),神宮司 元治・横田 俊之(2),上田 匠(3) 1:早大・創造理工,AIST,2:AIST,3:早大・創造理工 |
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| 6月6日 | 10:30〜10:50
シールド工法では切羽を直接確認できないため,事前調査のボーリングデータ等を活用して地山の土質を推定する。しかし,ボーリング数が限られるため,全区間の正確な把握は困難である。また,岩盤を対象としたシールド工法では,岩種により物性値が大きく異なるため、予想外の地質条件に遭遇するとトラブルの原因となる。そこで本研究では、切羽前方探査への電気探査適用を想定し、比抵抗検層(ラテロログ)を元にした探査手法を検討する。具体的には、Pythonを用い、比抵抗検層の電極配置に対応可能な任意位置送受信の水平多層構造応答特性計算手法を確立し、さらに、有限要素法による地中を含めた任意電極位置に対応する電位計算コードを新たに実装した。開発したコードと応答計算手法により、切羽前方モデルにおける比抵抗検層の電極配置を元にした電位応答を算出し、地下比抵抗異常に対する検出能力などについて定量的な検討を行った。
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44) 比抵抗検層を元にした切羽前方探査手法に関する数値計算手法の開発 | ||||
| ○與田 至門・上田 匠(1),佐藤 一成・辻 良祐・永谷 英基・川野 健一(2) 1:早大,2:鹿島建設(株) |
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| 6月6日 | 10:50〜11:10
本報告では「地中レーダ放射電波の微弱無線局適合性についての検討委員会」設立の背景と見通しを紹介した。地中レーダは現代社会において必要不可欠な技術となっているが、電波法を遵守しながらの利用が強く望まれる。特に、現時点においては、不要な空中への電波漏洩を起こさないことが肝要である。
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45) 地中レーダの放射電波について | ||||
| ○佐藤 源之(1),鈴木 敬一(2),佐野 康(3) 1:東北大学,2:川崎地質,3:応用地質 |
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